大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

WebEXからスピンオーバーしたZOOMが生き残れた訳は?

最近使用頻度が一気に増えたZOOMの創業者はCISCO WebEXのプロジェクトメンバー(Vice President)だったと初めて知った。CISCOは普通にいい会社だと思うけど、41歳でWebEXをやめてまで、ZOOMで実現したいことがあったのだろう。

 

WebEXはWebEXで今でも健在だけど、ZOOMを叩き潰そうと思ったらできたはず。それが起こらなかったのが何故なのか知りたいところ。

 

ビジネスプランコンテストなんかで最初に突っ込まれるのは

大手がパクったら、すぐにやられるんじゃないですか

 

というポイント。ところがそうならない事例が世の中にがごまんとあるのだ。

 

例えば、ZOOMの場合、技術的理由というより、WebEXが真似しようとしてもできない(しない)ビジネスモデル上の理由か、組織上の理由があったんだろうなと思う。

(北京によるネット検閲「グレート・ファイアウォール」をパスして中国につながりやすかったという話もある)

 

それを見越してVCもお金を入れている。

結果は、9年後の今年に大ヒットとなった。

 

大手がひしめく市場でも、チャレンジャーに常にチャンスはあるのだ。

 

forbesjapan.com

 

flowone.hatenablog.com

 

techblitz.com

手のひら返しの意思決定(オリンピック延期議論を巡って)

日本の組織のおける典型的な意思決定の方法について、オリンピックは貴重なケーススタディになりそうなので、記録しておきたい。

 

3月12日の時点で、森会長が率いる「2020年東京五輪パラリンピック組織委員会」では、延期の(可能性の)議論すら許されない様子だった。

 

これがこの後どういう展開になるのか。

 

森喜朗会長、病院飛び出し火消しに奔走…メンツ丸つぶれ 高橋理事の「延期」発言で

3/12(木) 7:30配信

 

森喜朗会長、病院飛び出し火消しに奔走…メンツ丸つぶれ 高橋理事の「延期」発言で
3/12(木) 7:30配信デイリースポーツ


森喜朗会長、病院飛び出し火消しに奔走…メンツ丸つぶれ 高橋理事の「延期」発言で

2020年東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長(82)は11日、同日に同組織委の高橋治之理事が新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国内外の一部メディアに大会延期の検討を進める考えを示したことを受け、都内で急きょ報道陣に対応し、火消しに奔走した。予定通りの開催を改めて強調したが、ウイルスという未知の脅威に直面する中、組織委内の混乱を国内外に露呈した。

 衝撃のニュースが国内外を駆け巡った。この日、米紙ウォールストリート・ジャーナルを皮切りに国内外のメディアが高橋理事のインタビューを掲載。新型コロナウイルスの影響で五輪の通常開催が難しくなった場合として「1、2年の延期が現実的な選択肢」と話したことで、これまで「中止、延期は検討していない」としてきた国際オリンピック委員会(IOC)や組織委のメンツはつぶれ、混乱が広がった。

 

www.yomiuri.co.jp

 

五輪組織委の理事、米紙に「現実的には1~2年延期」…森喜朗会長「とんでもない発言」


2020/03/11 22:29
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は10日、東京五輪パラリンピック大会組織委員会の高橋治之理事が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で今夏の大会開催が難しくなった場合、「最も現実的な選択肢は1、2年延期することだ」との見解を示したインタビュー記事を掲載した。

 大手広告会社「電通」出身の高橋氏は11日、読売新聞の取材に「あくまで個人的な意見を話した」とした上で、「中止はない。延期か強行開催か具体的に精査して検討しなければいけない。もうそういうことを話し始めるべき時期だと思っている」として、3月下旬に予定されている組織委理事会で議論する必要があるとの見解を示した。

 東京都内で報道陣の取材に応じた組織委の森喜朗会長は、高橋氏の見解について「とんでもないことをおっしゃった。安全で安心な五輪をきちんと進めていくというのが我々の基本的なスタンスで、今計画を変えることは全く考えていない」と、従来通りの姿勢を強調した。

 

 

正義に溺れる自分を疑う

戦争をはじめ、多くのコンフリクトは

 

「自分が正しい」

「自分が正義である」

 

という前提で発生する。風評被害でも、デマの拡散でも、多くは「騙してやろう」という動機ではなく、

 

「みんなを助けたい」

「役立ちたい」

 

という内発的動機に基づいて行われる場合がほとんどだ。しかし、そんな正義が、時には、人を傷つける「凶器」になる。

 

だから

 

「自分が絶対に正しい」(=悪いのは相手だ)と思った時ほど、

 

一回立ち止まって考える余裕を持ちたい。メールであれば、一晩寝かせるだけでも、自分の思考を客観的に眺めることができるようになる。

 

もちろんそれが難しいことであることは言うまでもない。

 

↓ちなみに今回の考えるきっかけは下記のメルマガ。めちゃおすすめ。

 

www.kandamasanori.com

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「シゴトのヒント365」神田昌典 2月25日号
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【今日のヒント】

「金は汚く稼いで、綺麗に使う」

【解説】

 近藤藤太氏からの教え。
 表面的に読んでしまえば、納得できないだろうが、行間を読んでみよう。

 日本でラジオ放送局を設立した牧師さんが残した言葉らしい。
 自分が善行をしていると信じ込むほどに、危うくなる。

 どんなに善行していようとも、
 いつ何時、それが悪行に変わるかわからない。

 ビジネスに限らず、それが人間の行動の二面性。
 その二面性を常に意識することで、はじめてバランスが整う。

【質問】

 がんばって稼いだお金を、社会に生かすために
 何に寄付しますか?

 

スターティングポイント

やっと昨日、AppStore審査にパスし、チャットボット機能を実装したディスカッションアプリをリリースした。一応AIも使えるようになっているけど、しばらくはシナリオベースで自然な会話を成立させるデータをひたすら打ち込む予定。

 

apps.apple.com

 

ああ、ここまで来るのに何年かかっただろう。AI活用のめちゃくちゃ初期段階に立った感じだけど、いろいろ発展させていく第一歩ができた感じ。

先生(1)と生徒等(n)の対話を学習させて、閾値を超えた段階で「先生BOT」を自動生成させようと考えたのは相当昔の話。ただ、なんだかんだとやっていうちに、実現に5年近くかった。

 

ただ、学習データがそれなりに溜まってくれば、音声認識を実装して、スマートスピーカーに応用したり、ペッパー君にも使えるかな、などと夢は広がる。Googleが無料でやっちゃわないうちに、もう少し前に進みたいところ。

 

www.technologyreview.jp

 

それにしても今回はAppleの審査Rejectを乗り越えるのにほんま苦労した(7−8回リジェクトされた)。「これで落とされたら、iPhoneやめてAndroidにしてやるぞ!」と思っていたので、なんとか踏みとどまった。

 

GoogleもいきなりAPIの仕様を変えたりするので、一緒のようなもんだけど、Platformerは立場が強いことを改めて実感。

 

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chat画面

余談

Anaという名前は、映画「ブレードランナー 2049」に出てくるレプリカント(人造人間)の記憶創造者であるアナ・ステリン博士(Dr. Ana Stelline)からヒントを得ている。機械に人間っぽさをもたせるには、擬似的に本当の人間の記憶を埋め込むのが一番なのだ。SFっぽい話だけど、これは現実化しつつある。

xtrend.nikkei.com

 

二流は後ろから撃たれる

海兵隊の教訓に

「二流は後ろから撃たれる」

という言葉あるそうだ。戦場では自分の命がかかっているから、人間のエゴが剥き出しになる。したがって、よほどしっかりした信頼関係を構築しない限り、

 

自分が助かりたい一心で、味方を背後から撃ったり、味方を敵に売り渡したりする人が必ず出てくる。

 

これは海兵隊に限定した話でもなんでもなくて、、三国志でも、最近流行の漫画「キングダム」でも、味方から裏切られることで、敗北するケースが多く出てくる。(むしろ戦で敵に負けるパターンより多いのではないだろうか。)

 

「2020年の大河ドラマの主役になる明智光秀」に裏切られた織田信長もそうだし、関ヶ原の合戦で東軍に寝返った小早川秀秋も裏切り者の代表格である。

 

「ブルータス、お前もか!」のカエサルも、ユダの裏切りにあったイエス・キリストも構造は同じだ。

 

そういう意味で、味方から撃たれる(Friendly Fire)というのは、人間の業に根差した、組織運営の原理原則の近いものだと思う。

 

(もちろん裏切った方の立場から見れば、生存のための正当かつ合理的な判断があったわけで、それを責めてもしょうがない)

 

かくいう私もサラリーマン時代には、何度か(も?)後ろから撃たれた。

 

今思い出すと、脇が甘かっただけで、戦場だったらとっくに死んでいるだろう。ただ

幸いなことに現代の裏切りは命までは奪われないから、この経験は、大きな学びになった。


【高橋がなり】#58⇒仲間の裏切りで社長をクビになり人間不信となった元経営者に高橋がなりが「お前はバカか!」と一喝!【まえむき人生相談】

 

この動画は、かつて一世を風靡した「マネーの虎」の”虎”の代表格だった高橋がなりさんが、裏切りについてアドバイスしているのだが、かなり深い。

 

人は自分で自分を裏切れるぐらいなんだから、他人との約束なんて、もっと簡単に破りますよ

 

という言葉に、なるほどな、と思う。

 

例えば、ダイエットしようと決心した(自分で自分に約束した)のに、すぐに破ってしまう。禁煙しようと誓ったのに、誘惑に負けて喫煙してしまう、など、もっとも裏切ってはいけない自分さえ裏切ってしまうのが人間なのだ。

 

つまり人間はどうしようもなく弱い存在なのである。

 

したがって、常に「裏切られるかも知れない」という前提に立つことで、万全の準備ができる。

 

稲盛和夫氏が「実学」で書いているダブルチェックの法則も同じところに根差している。

・うつろいやすく不確かなのも人の心なら、これほど強く頼りになるものはないというのも人の心である。
・人の心をベースにして経営していくなら、この人の心が持つ弱さから社員を守るという思いも必要である。これがダブルチェックシステムを始めた動機である。
・出来心が起こったとしても、それができないような仕組みになっていれば、一人の人間を罪に追込まなくてすむ。そのような保護システムは厳しければ厳しいほど、実は人間に対し親切なシステムなのである。

 

稲盛和夫の実学―経営と会計

稲盛和夫の実学―経営と会計

 

 

さて実際に弱い人間の心にどう対応するか。

 

一つは高橋氏は「裏切ったらひどめに合わずぞ」という仕掛けを用意するというマキャベリ的なリアリズム発想だ。

 

君主は愛されるよりも恐れられよ」というわけだ。

 

もう一つは稲盛氏のように、その究極を(かなり飛躍するけど)「愛」だと捉えること。高い目標を掲げ、そして信頼して任せる、といったポジティブな側面と同時に、「ダブルチェックの法則」のような極めて具体的なバックアップの仕掛けを用意する。

つまりそのバランスが肝だ。

なかなか学校では教えてくれない話だけど、ベンチャーや中小企業なんかでは、元部下にお金を持ち逃げされたとか、顧客名簿を持っていかれた、とかいう話は日重茶飯事で、最も重要なトピックではないかと思える。

ーー

余談だが、交渉においても、いかに味方には仕事を外されないようにするか(裏切られないようにするか)がみそ。現実的な合意が、味方から「妥協」と解釈されると、裏切り者のレッテルを貼られ、ハシゴを外されることになる。


http://www.nhk.or.jp/osaka-blog/historia/370147.html

担がれるリーダーシップ

心屋仁之助(じん)さん×永松茂久さんの対談が面白かったのでメモ。

 

テーマはズバリ「リーダーシップ」。

 

だけどちょっと切り口が違う。じんさんの説明は感じ。 

 

一人で頑張りすぎるリーダーには「リーダーというものは人を引っ張っていかなければならない」という誤った思い込みがある。

 

ただ「自分はだめだ。自分はそこまで魅力がない」という劣等コンプレックスを抱えながら、無理に人を引っ張っていこうとすると、周りにそれが伝わって、「本当についていっていいのか」とみんな不安になる。結果的に、なかなか人がついてこない。

 

実際、自分でも自分の引っ張っていこうとする方向に自信がないことに薄々気づいているので(=押し込めている「劣等コンプレックス」に気づきそうになる)、それを無理やり解消するために

 

「お前らは何で俺についてこなんだ!」

 

というパワハラまがいの極端な行動をとってしまう。結果的に周りの気持ちがさらに離れ、もっとパワハラの方向に走っていくという悪循環が起こってしまう。

 

じんさんも昔のこのタイプのリーダーだったそうですが・・・、なんか僕も心当たりがあるなあという感じ。(心が痛い)

 

で、じんざんが提案しているのが「担がれるリーダー」になること。

 

でも、それってどうすればいいのか?

 

まず重要なのは「自分は担がれるだけの人間である」という(根拠のない?!)自信を持つこと。(でないと、遠慮してしまって、担がれた瞬間に自分から神輿を降りてしまう)

 

これを、もっと平たくいうと「この指止まれ!」と言えること。

 

でも失敗したら不安だ。。。と思うのが人の常。

そういう場合は、「カッコ悪くてもいいじゃん」と明るく開き直ることだそうです。なるほど。

 

もちろん「この人が言っているようなことを実現させたい」と周りが思うから、担がれるっていう前提がありますが、確かにオレオレ型リーダー一辺倒じゃない方が、案外うまくいくような気がします。

 

ただ担がれることを勘違いして、 偉そうになると、また人が離れていくわけですが。

 

 

nagamatsushigehisa.com

かんぽ生命のKPI設定ミスとマネジメントコントロール

「Result Control」におけるKPIの設定ミス(?)によって、Gamesmanship(数字だけを追うゲームが発生して暴走すること)が発生した典型的な事例だと思う。

 

現場の人は良心の呵責とノルマの間で苦悩しただろうと思う。KPIを「契約後の顧客満足度」等に設定していたらこの種の問題は起こらなかったはず。

 

経営陣も現場の状況を把握せずにKPIを設定していたのであれば、ぜひManagement Control論を学んでほしいと思う。(この種の問題が何度も起こっているところを見ると、どこかに悪循環が起こっているんだと思うけど。)

 

news.livedoor.com

 

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