大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」で学ぶ「達成動機」と輪投げ実験

うちの子どもが「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」というアニメをアマゾンプライムで見ていたのを横から見ていたのが、これがなかなか面白い。

 

この本はシリーズ累計発行部数350万部という小学生に絶大な人気の本で、Eテレでアニメ化され放映されている。

 

www.toei-anim.co.jp

 

今回見た回は「「最後にわら麩(ふ)」と「負け知らずアンズ」」というエピソードで、近所の将棋道場で、ライバルにどうしても勝てない初老の主人公が「負け知らずアンズ」という駄菓子を手に入れた結果、全部の勝負に勝ててしまうようになる。

 

その結果、一瞬はハッピーになるのだが、結局ゲームが面白くなくなってしまう(→人生に絶望する)という、なかなか考えさせられる話だ。

 

この話は心理学者マクレランドの「達成動機」について思い出させてくれる。

 

人の根本的な動機の一つに”何かを達成したい”という「達成動機(Achievement Motive)」と提唱したことで有名な研究者だが、その動機付けが、どういう時に高まるのかについて、弟子に当たるアトキンソン&リトウィン(Atkinson &Letwin)の輪投げ実験が思い出される。


要は、ゲームは大体50%ぐらいの成功確率の時が、人のモチベーションが最も上がるという話なのだが、今回のアニメの主人公は「負け知らずアンズ」によって、この成功確率を100%にしてしまった結果、ゲームに絶望しまっという解釈できる。


これは人の人生全般に当てはることで、うまくいくかどうかの勝負しているときは、やっぱり楽しいというのは感覚的にわかる。


そういう意味ではチクセントミハイの「フロー」状態(挑戦している課題の難易度と能力が均衡している状態)を自分で作り出している人が一番充実しているとも言える。


さて、果たしてウチの子どもがどれぐらいこのエピソードの深みを理解しているのか、何を番組の教訓として理解したのかは怪しいが、こういうのを題材にして、深掘りする道徳教育とやったら楽しいかもなあと思う。


で、その後に、研究者が、歴史的にこのトピックについて何かを考えて、何を研究してきたかを紐解くような授業をすれば、きっと学問について興味を持つ子供が増えるじゃないかと思う。(ということで、うちの子どもを実験台にしていろいろアプローチをしているところ。)

 

こちらのブログで今回の銭天堂のエピソードがわかる。

amadige.com