最近入手した「残念な名言集」というという本がなかなか味わい深い。
古今東西のいわゆる偉人が、思わず吐いた弱音を名言として収録しているのだけど、人間っぽくてとてもいい。
経済学の巨人、マルクスがプライベートの金銭感覚はダメダメで「妻は毎日、子どもたちと一緒に死んでしまいたいと言ってる」との手紙を友人に送っていたり、
ゴッホの「今日もまた辛い1日だった」という泣き言も味わい深い。
大体、書籍ですごいことを書いている経営者とか、キレものとコンサルと一緒に働いてみると、結構カッコ悪いところが見えたり、ずっこけてしまうような失敗をよくしていることがすぐに分かる。
温厚そうなカリスマ経営者が会議では激怒して灰皿を投げるとか、そういうのは日常茶飯事だし、ロジカルなコンサルの着想の原点が、直観(思いつき・ひらめき)に基づいていることなどデフォルトだ。
スイスイ涼しそうに泳いでいる白鳥が水の中ではバタバタもがいているのと同じで、僕はどっちかというと、そういう人間っぽいダメなところがあってその人の魅力だと思う。
そして
「すごい人だって悩んでいるんじゃないか。自分もちょっと頑張ったらあんな風になれそうだ」
という不思議な希望が持てる。
しかし多くの場合、本人の意思とは別に、周りのイエスマンがその人を勝手に神格化して、完全無欠の神のように語ってしまう。だから、周りが勘違いしてしまう。(案外、本人自身が勘違いしている例は少ない気がするんだよね。)
そして、その人をロールモデルにしたり、憧れる人が「虚像」を追いかけてしまうのだ。
カリスマだって、偉人だって、プロフェッショナルだって完璧じゃない。
完璧じゃないけど完璧を目指そうという姿がいいと思うので、やっぱりそういう人から学ぼうと思えば、できるだけ一緒に仕事をするというは、なかなか良い手ではないかと思う。
それが難しければ、「自伝」と「評伝」の両方を読んでみるのがよい。(これは私の師匠のアドバイスの受け売りだけど!)