大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

部分最適にならない最適な役割分担とは

リゾートホテルや温泉旅館の再生やマネジメントで有名な星野リゾート

同社は主にリゾートの「マネジメント(経営)」を手がけて

成功しています。

よく

「経営と資本の分離」

と言ったりしますが、

多くのホテル/旅館では経営と資本が一緒になっています。

この「経営」の部分に特化したのが星野リゾートです。

現在、多くの老舗旅館が赤字スレスレで経営しており、

最近になって国が耐震工事の実質的な義務化を決定した事により

かなり資金繰りに苦しんでいるそうです。

「毎日資金繰りに頭を痛めていたら、

 顧客満足度のアップや料理メニューにまで頭が回らなくなる」

と、ある旅館経営者がインタビューで語っていましたが、

星野リゾートのように、

渾然一体となった経営と資本を分離し、

「建物」(資本)のスペシャリスト

「運営」(マネジメント)のスペシャリスト

として各業務に特化する事は、ある種の解決法に

なりえるのかな、と考えています。

もちろん今までにないような斬新なサービスを提供する場合は、

「経営と資本を分離しない」のほうが機敏に動けるという

メリットもあるはずですが、

各機能に特化するやり方から学ぶ所は多いにあります。

例えば、多くの高級ブランドを抱える

LVMH(ルイビトンモエヘネシー)は、

流通や会計などの「マネジメント」に特化し、

商品開発等のブランドの根幹に関わる部分は各社に任せています。

ユニクロファーストリテイリング)も「セオリー」などの

高級ラインを傘下に持っていますが、マネジメントに特化しているため

セオリーブランドの後にユニクロが見える事は一切ありません。

そしてその事によって、デザイナーがそろばんをはじきながら

デザインをせずに済み、本来の強みを発揮すべき

業務に集中できるのです。

ひとつの会社の中で

「営業」「生産」「開発」

が社内対立している事がよくありますが、

それぞれが協調し、強みを出し合えるような組織デザインを行えば、

ホテルでの「経営」と「資本」の分離や、アパレル会社にように

有効な関係が構築できるということなのです。

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週刊メルマガ「大人の学ぶ技術」より

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