大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

給料が低かった時代の方が、みんなモチベーションが高かった訳

先日、「某社では給料が低かった時代の方が、みんなモチベーションが高かった」という話を聞きました。

この会社は他社に先駆けて「成果主義」を導入したりして、先進的な会社としてもてはやされていましたが、残念ながら今は業績低迷にもがいています。

成果主義」は導入方法や時期を間違えると「アンダーマイニング効果」を生みやすいと言われています。

つまり「給料(金)」と「仕事」を直結させすぎると、モチベーションが落ちてしまうのです。

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もっと具体的には、本人が心から仕事を楽しんでいる状態、つまり

「お金をもらいながらこんなに面白い仕事をさせてもらってありがたい」

と思うほどのめり込んでいる状態において、「金=外発的動機」を強調しすぎる事は、「仕事=内発的動機」を弱めるという逆効果を生んでしまうのです。

その罠に思いっきりハマってしまったんだろうなと思います。(社員さんはみんな優秀なのに・・・)


以前、星野リゾートの星野佳路氏が講演で面白い事を言っていました。

星野氏は潰れかけた(もしくは潰れた)旅館やホテル、リゾートの再生人として有名なのですが、再建先の従業員(コックさんや仲居さん、フロントさん)の給料を2−3年はカットせざるを得ない時、きちんとした再建の道筋を提示すれば、給料が下がっても従業員のモチベーションが下がる事はないそうです。

なぜか。

それは基本的に旅館や中堅ホテルの従業員さんは、自分の仕事が好きだから。

給料が減ったら手を抜くような人は、基本的に旅館に残っていないのです。何らかその旅館に愛着があったり、自分なりに一生懸命がんばってお客さんに感謝されることに喜びを感じ、仕事自体にやりがいを持っているからこそ、その旅館で働き続けてきたのです。

だからきちんとマネジメントを立て直してあげれば、彼らは一流旅館もビックリするようなホスピタリティでいきいきと仕事をしてくれるんだそうです。

もちろん、給料が低すぎれば、今度はそれが「衛生要因」(満たされなければモチベーションが下がる要因)になってしまいますが、やっぱりできる経営者ってこの辺りのさじ加減がうまいなあといつも思います。


野田先生のコラムは参考になります。

二流を超一流に変える「やる気」の与え方――

二軍選手を一軍で活躍させる“内発的動機”の高め方

野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事] 【第27回】 2014年12月22日

http://diamond.jp/articles/-/64071