大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

「JA越前たけふ」にみるマネジメントコントロール

朝の「ウェークアッププラス」(4/20)という番組で、全農を抜け出して独自の経営を始めた「JA越前たけふ」の特集番組をやっていました。

全農/経済連は、今や収益のほとんどを共済事業や信用事業(松下奈緒さんのCMでやってるJAバンクとか)に頼っていて、本業の農業関係では真っ赤。

全農に販売委託されたコメは37.9%。集荷率が5割を超えるのは北海道と北陸だけ」(ダイヤモンド社の記事)なんだそうで、ビジネスモデルの転換を図られています。

全農に限らず、これまでピラミッド型組織でなければ成り立たなかったあらゆる商売は、いまやネットを使えば、数人で成り立ってしまう時代。だからこそ、マネジメント層が自ら魅力的になる努力にしないと、実力のある人(下部組織)はどんどん離脱していきます。

実際に、現在の全農/経済連の構造では、団体員(農家さん)は、近くのホームセンターで買うより高いお金を払ってJAから肥料を買わねばならないし、頑張ってブランド米をつくっても、JAサイドの買い取り価格は同じ。これだとやる気は出ませんよね。

まさに軍隊式マネジメントに陥りがちなアクションコンロールの弊害が出てしまっているんです。

(引用)“謀反”を起こされた上部団体は沈黙したままだ。取材申し込みに対し、全農は「JA越前たけふと直接取引していないので、わからない。福井県経済連に聞いてほしい」、福井県経済連は「お話しすることはいっさいない」と、取りつく島もない。JAグループの総合指導機関である「全中(全国農業協同組合中央会)」も「コメントする立場にない」と知らんぷりを決め込む。

こういうのは「きざし」なんです。それを活かして組織変革できるかどうかが、組織の生死を分けます。おそらく全農内部でも、現場に近い人と、マネジメント(幹部)の間で小競り合いが起きているはず。

しかし大抵の場合は、仕事を奪われる危機感を持ったマネジメントが、あらゆる手を使って改革を封じ込める状態が続き、時代の流れに逆らえなくなった時点で、一気に崩壊するか、優秀なリーダーが登場して変革が起こります。明治維新と同じですね。