大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

仕事はゲーム化する時代

Amazonはなんでも早い。そして、このゲーミフィケーションのコンセプトは、何にでも応用できる。

www.gizmodo.jp

 

ゲームを他人と競わせる為に使うのではなく、本人のモチベーションアップにつかうという視点もいいし、報酬が社内仮想通貨というのも面白い。

 

ゲームの仕組みに対戦やらポイントやら獲得品やらある一方で、あくまでも目的は仕事を楽しくであって、生産力を高めるためでも、社員同士の競争心を煽るためではないというのがAmazonの言い分です。

 

ウチで開発している対話プラットフォームにもゲーミフィケーション機能を実装しようと奮闘中ですが、仕事も勉強も楽しくが基本。

 

教育・学習への応用はこちらのコラムで。

www.f-pad.com

 

ライドシェアリングの急先鋒「電動キックボード」をUSで試してみる

アリゾナ州・フェニックスで、昨年ぐらいから話題となっている電動キックボード(キックスクーター)の「LIME」(正式にはLIME-S)を体験してきました。

 

日本でニュースを聞いた時は、違和感があり過ぎて、

 

「なんじゃこりゃ、アメリカはバブルだな」

 

と正直バカにしていましたが、実際に乗ってみると、大変うまいエコシステムができていて、「すごいな」と思いました。

 

やっぱり、こういうものは体験してみないと、机上の空論で判断してしまいますね(反省)。これが歳をとるということかも。

 

もちろんビジネス的に色々問題はありますが、高速でPDCAを回して改善すれば、ビジネスのスケールは容易そう。

 

日本でもそのうち流行るかも知れません。

 

現在、アメリカではGoogleUber、Fordなどが出資している電動スクーター系ベンチャー3社がしのぎを削っています。

 

ちなみに、Googleの親会社「アルファベット」が出資する「LIME」は、昨年2500億円の評価を受け、370億円の追加出資を受けています。

250億円じゃありません。2500億円ですよ。

本当にびっくりです。

 

でも、ぱっと見、そんハイテクっぽい感じもしないし、

たかが電動キックボードですからね。。

 

でも、そこが落とし穴なんです。

「技術的にしょぼい」というバイアスの元に、みすみすチャンスを
逃してしまうリスクについて、シリコンバレーにあるシンギュラリティ
大学卒の斎藤さんが面白いコラムを書かれています。

 

▼「日本のイノベーションを阻害する後知恵バイアスとその対策」

note.mu

下記、引用します。

 

「イノベーティブなアイデアが出てきたとき、社会を変えるようなアイデアが出てきたとき、我々は「技術的に大したことないじゃん」とか、「そんなん誰でも思いつくよ」って思ってしまう。これこそが危険な後知恵バイアスなのだ。そもそも、すごい技術からイノベーションが生まれることは非常にマレなのだ。
ほとんどのイノベーションはすごい技術の価格が下がった時、そしてそれを組み合わせたときに生じる。」

 

ほんと、この通りだと思いませんか?

 

スマートスピーカー?→ 技術的に大したことないじゃん
ドローン?→  技術的に大したことないじゃん
エアビー?→ 技術的に大したことないじゃん

 

って、あなどっている隙に世界はどんどん進んでいってしまいます。

 

少なくとも、シリコンバレーの目利VC(Venture Capital)が
電動スクーターに2500億円のポテンシャルを感じているということは、
そこに、移動データのビッグデータ取得など、将来化ける価値が
隠されていることは間違いなさそうです。

 

日本でも、埼玉で実証実験が行われているそうです。

 

▼電動キックボードで街を快走 駅拠点にシェア「国内初」2019/4/6

 

www.asahi.com

 

日本では、原チャリと同じ扱いなのでヘルメット、免許、ナンバープレートが
必要なので、アメリカほど手軽というわけには行かなそうですが、
すぐに「難しい」と決めつける思考も罠かも??

 

www.mag2.com

イノベーションを生み出す交渉術

イノベーションの重要性が叫ばれて久しい。あらゆる市場がレッドオーシャンに染まり、利益を出すのが難しくなっている市場で、新しいバリューを訴求して、ブルーオーシャンで戦いたい、という思いはどこでも同じだろう。

 

しかし(当たり前だが)企業の業績を劇的に改善し、世の中にインパクトを与えるようなイノベーションはなかなか出てこない。

 

では、イノベーティブなサービスや製品を世に送り出している企業は、どんなプラクティスを行なっているのか。それを今回は「交渉術」という観点から紐解いてみたい。

 

交渉術は、一般的に価格交渉をはじめとする「駆け引き」のイメージが強いが、本質的には

 

利害が一致しないステークホルダー間でのコンフリクト(対立)を解消するためのコミュニケーション

 

である。

 

したがって「調整」という名の社内交渉をはじめ、ビジネス、プライベートのあらゆるシーンで交渉が行われている。もちろんイノベーションを巡るマネジメントも例外ではない。

 

多くの場合、本当にイノベーティブなアイデアほど、社内外でコンフリクトを引き起こす。なぜなら、新しく提示されたコンセプトは、いままでと全く異なるパラダイムを提示し、時には既存のビジネスのやり方を全面否定してしまうからだ。

 

詳しくはハーバードのクリステンセン教授の「イノベーションのジレンマ」シリーズに譲るが、イノベーションが生まれない理由を交渉的に捉えれば、アンチイノベーション派が、イノベーション派との交渉に勝利してしまっているのである。

 

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

 

 

もっといえば、イノベーティブなアイデアの種は絶えず生み出されているにもかかわらず、交渉の結果によって、その芽が摘まれてしまっているのだ。

 

そして皮肉なことに、そんなイノベーションのタネが、回り回って他の企業で花咲くことはよくある。

 

3DプリンターやE-Inkをはじめ、原理や仕組み自体は日本企業がつく出したにもかからず、外国企業によって大きく躍進した技術は枚挙にいとまがない。

 

イノベーションの芽を摘んでしまっている

では、なぜ多くの組織で、イノベーション派は交渉に負けてしまうのか?

 

端的に言えば「イノベーティブなアイデアを採用する意思決定をする」より、「それを否定する(もしくは時期尚早だと保留する)」の方がはるかにリスクが低い仕組みになっているからである。

 

イノベーションを起こすようなアイデアの成功確率は決して高くない。したがって、はっきりした意思決定を保留した方が、マネージャーとして組織内での勝率が相対的に高くなるのである。

 

さらに株式会社における資本は株主から預かったものであるため、マネジメントはより確実なリターンを見込める案件に投資する意思決定を常に迫られる。結果として「破壊的イノベーション」よりも、投資効率が予想しやすい「持続的イノベーション」にシフトせざるを得ないのだ。

 

●目先の対立を乗り越える方法

では改めて「イノベーションを起こし続ける企業」と「そうでない企業」の差を考えるにあたり、その具体的事例として「ヒートテック」を取り上げてみたい。

 

東レファーストリテイリングが共同開発したヒートテックは、2003年に発売されて以降、今やユニクロの看板商品として不動の地位を獲得している。世界7カ国で1億枚以上を売り上げ、現在も進化を続けるヒートテックは、間違いない同社のイノベーションの象徴的存在だ。

 

もちろん、このヒートテックの開発についても、東レユニクロの間でイノベーションを巡るシビアな交渉が行われている。

 

ヒートテックは、4種類の異なる糸で作られる合成繊維だが、当初はそんな合成繊維を作ることなど不可能な話だと思われていたという。当時の様子について、

 

「社内でそんな提案が出てきたら「業界(繊維)の常識がわかっていない」と集中砲火を浴びただろう

 

と、日覺昭廣氏(東レ代表取締役社長)自身がインタビューで語っている。

 

しかし、ユニクロはまさにその”夢の”合成繊維を要求してきたため、 「それじゃあダメだ」(ユニクロ側)「できるわけないじゃないか」(東レ側) というやりとりが何度も繰り返され、現場は一時期かなり険悪は雰囲気に陥っていたという。

 

しかし結局1万回の試作をつくって実験を重ねた結果、「絶対にできない」と思われたヒートテックが完成。世界的な大ヒットとなった。

 

イノベーションを生んだ東レユニクロの交渉

当時のユニクロ東レの状況を、交渉対立図で示すと下記のようになる。

f:id:wakabayk:20170220125737j:plain

*この図は制約理論(TOC)の「クラウド」という図解。読み方は(ユニクロ側)「A.衣服で世界を変えるには、C.全く新しいハイテク素材で勝負したい。それならば、D'東レヒートテック(新しい合成繊維)を作って欲しい」

 

となる。逆に東レ側を見ていると、「繊維で世界を変えていく」ためには「効率的に開発する(社内リソースを守る)」となっており、矛盾しているのだ。

 

もちろん「世界変えるためには常識に挑戦しなければならない」ということはイノベーターである東レ側も重々分かっているのだが「現実問題として難しい」という話なのである。

 

したがってこの交渉は、東レユニクロの間のものに見えるが、本質はイノベーションへのチャレンンジを巡る東レの「内部対立」(「現実」と「理想」)でもあったのだ。

 

では両者がこの対立状態を乗り越えられた理由は何か。

 

現実主義の前に、イノベーションが屈しなかったのはなぜか。それは、両者が考える先は一致していたから。

 

ユニクロは衣服で世界のライフスタイルを変えることをビジョンとして掲げ、東レも繊維でそれを実現しようとしている会社であったこと。これが両者を強力につなぎとめるボンドの役割を果たしたのだ。

 

交渉を行う当事者同士にとっての「共通のゴール」を設定できると、両者のスタンスは「対立の関係→問題解決(共通の敵を倒す)仲間」に変化する。

 

つまり、”あなたはあなた”という「分離」から、”あなたは私であり、私があなたである”という「非分離(運命共同体)」の関係に変化する。

 

東レユニクロとも「イノベーション」という共通ゴールをお互いに確認し合っていたからこそ、イノベーションをはばく目先の制約条件(現実主義)に屈せず、切磋琢磨するスタンスで、ヒートテックやウルトラライトダウンなどを生み出し続けているのだ。

 

イノベーションを生み出す交渉術

イノベーションを巡るステークホルダー間の交渉(利害関係の調整)を見てきが、イノベーションに否定的な見解を持つ現実主義の人々が企業内に一定数存在するのは、むしろ健全なことである。

 

企業がしっかり足元を固めているからこそ、リスクのあるイノベーションにチャレンジできる訳で、イノベーションだけで企業が安定的に成長するは難しい。

 

だからこそ、その目先の対立を乗り越え、絶妙なバランスを保つのがマネージャーの役割であり、その行く先を灯台のように照らすのが、企業の存在意義を示すミッションやバリューとなる、

 

イノベーションを志向する企業は、今一度、自社の存在意義を全社で問い直すことに、対立を乗り越え、イノベーションの生み出すヒントがある。

 

*本文は、雑誌「経営センサー 2017/4月号」(東レ経営研究所)に掲載されたコラムに加筆訂正したものです。

 

 

学習者のレベルでゲーミフィケーションの強弱をコントロールする

ナムココーエーでゲーム開発を手掛けられ、ゲーミフィケーション研究者になった岸本好弘さんの実に味わい深いコラムです。

 

www.4gamer.net


マネジメント教育の初期の段階ではゲーミフィケーション
めちゃくちゃ有効なのですがその限界も語っていらっしゃいます。

 

ゲーミフィケーションは,モチベーションの低い人たちに
有効な手法です。彼らの大半は,何らかのつまずきが原因で,
本来持っているはずのやる気を失っているだけで,そのやる
気をアップさせるきっかけとなるのががゲーミフィケーションです。
ちなみにゲーミフィケーションは,その事柄に対してモチベーションが
高い人たちにとっては,余計なものになってしまうこともあります。」

 

要は「相手のレベルによってゲーミフィケーションの強弱をコントロールが必要」ということです。ここさえ間違わなければ、社会人の学習にも十分使えるコンセプトです。

 

ところで、先日5歳の娘に付き合って (付きあわされて)「キラッとプリチャン」というアニメ&ゲームに触れることが多かったのですが、これがゲーミフィケーション的な観点から本当によくできているんですよね。

 

prichan.jp

 

例えば、

 

・会員証を作って主人公が成長
アバターがランキングで全国のライバルと競う
・アイテムで主人公がパワーアップ
・ダンスのスコアをリアルタム表示
おもちゃ屋で買った関連グッズを、アーケードマシンに
 読み込ませると、さらに主人公がパワーアップ

 

など。

 

前述の岸本さんさんはゲーミフィケーションデザインのポイントとして
下記の6つのキーワードを提唱しているのですが、
まさにバッチリハマっている感じです。

 

「能動的参加」
「称賛演出」
「即時フィードバック」
「自己表現」
「成長の可視化」
「達成可能な目標設定」

 

といういことで、たまにはゲーセンのアーケードゲームで、開発者の知恵が汗が詰まった結晶である最新ゲームを研究した方が良いなと思った次第です。

 

プリちゃんのゲーミフィケーションで”修行”した娘は、リアルワールドで、今度は自分自身でゲームを構築していくに違いありません。

 

アドバイスを聞ける相手は、自分が行きたい道を先に歩いている人だけ

当たり前ですが、アドバイスを求めるべき相手は、「自分が行きたい道を先に歩いている人」しかいません。

 

例えば、若かりし孫正義さんが、日本マクドナルド藤田田さんにアドバイスを求めたのは、藤田さんが海外関係のビジネスに長けていたから意味があるのであって、留学やビジネス経験のない学校の先生に「高校をやめて留学したいのですが」と相談しても、それほど有益なアドバイスはもらえなかったはず。

 

ましてや「将来、ビジネスで成功するために何を勉強すればいいですか」と相談しても、的確なアドバイスはできなかったはずです。

 

なぜなら、経験したことのない人に「やったらどうなるか」を聞いても結局はバーチャルな回答しかできないからです。

 

したがって留学したい人は、留学経験者にアドバイスを聞くべきだし、経営者になりたい人は経営者、アイドルになりたい人はアイドル、YouTuberになりたい人はYouTuber, 政治家になりたい人は政治家にアドバイスを聞くのがベスト。

 

また、どの世界でも”その道の成功者”と言われている人は、少数派です。

 

したがって大多数の普通の人にアドバイスを求めても、あまり意味がありません。そもそも「こうやったらうまく」というアドバイスができるなら、その人自身がその道を先に歩いているはずだからです。

 

さらに、人の生き方に正解はありません。したがって、どのアドバイスもそれなりに正しいのです。その道で成功しないのも正解だし、成功するのも正解です。

 

実際、少数の人しか成功しない道なのであれば、大多数の人が「やめたほうがいいよ」というのは、意地悪でもなんでもなく、極めて合理的なアドバイスなのです。

 

だからこそ、「アドバイスを聞くべき相手は、自分が行きたい道を先に歩いている人だけ」という原理原則というのは、いつの時代も不変です。


 

もちろん成功者の語る成功法則に普遍性(再現性)があるかわからなかったり、体系的でなかったり、エピソード自体がホントかウソが怪しいこともあるので、評論家や学者の俯瞰的な解説が役立つことも確かですが、メインはあくまでも、実践者本人の言葉です。

 

 ちなみに経営者本は、自伝と評伝の両方を読むのがおすすめです。

 

過去に納税額日本一を何度も達成している斎藤一人さんの本も、ご自身が書いている本と、弟子の方々が書いている本を両方読むのがおすすめです。メディアに写真が出ないので何となくミステリアスな人ですが、弟子の方々がちゃんと成功しているのがいいですね。

斎藤一人 スカッと一発大逆転

斎藤一人 スカッと一発大逆転

 

 

ーーー
(余談)
アドバイスを直接もらえないなら「私淑する」という手もあります。

「し‐しゅく【私淑】 〘名〙 (「私」はひそか、「淑」はよしとする意)
敬慕する人に直接教えを受けることはできないが、ひそかに尊敬し、
模範として学ぶこと。 教えを受けたことはないが、尊敬する人を
ひそかに師と仰ぐこと。」

私の場合、中学・高校時代は当時大人気の国際ジャーリストだった落合信彦を「私淑」しました。

 

その結果、留学し、NGOスリランカに駐在し、現在は経営コンサルや、教育システムの開発をしています国際ジャーリストにはならなかったのは、我ながら面白いなと思います。

 

最近メディアで大活躍の落合陽一さん(信彦氏の息子)は、私淑ではなく、直接薫陶を受けていますが、現在の職業はメディアアーティスト。

 

国際ジャーリストでも、作家でもありませんが、本を読むとなんとなくノビー(お父さんの愛称)っぽい雰囲気があります。

 

結局師匠を完コピでパクろうとしても、自分の個性と融合する過程でオリジナルが出来上がるということかもしれません。

 

何だか合体・進化するポケモンみたいですが、精神レベルでは本当にそうなっているのかも知れません。

 

そもそもパクろうとする過程で、自分との対話が必然的に生まれるので、心が動いたら行動に移すのがよいというのが結論です。

 

世のなか、面白いですね。

Corvoda(monaca)のユニバーサルリンク対応はどうなる?

現在リリース中のアプリに「Custom URLスキーム」(URLから直接アプリを起動できる機能)を組み込んでいるですが、数年前のAppleの方針変更で、「ユニバーサルリンク」なるものに移行していく動きです。

 

blog.branch.io

 

それはそれでいいのですが、うちでアプリ開発に使っているMonca (Corvova)が、その変更に全然追いついていない様子です。

 

こういう変更がある場合は、大体プラグインで対応できるのですが、ユニバーサルリンクについて未対応。質問サイトにもレスがない様子。

 

teratail.com

 

頼みの綱のGithub でCordovaプラグイン開発にトライした動きがあるのですが、挫折してしまったようです。

github.com

ああ、これはプラグインを使わずに開発せよ、ということか。

スリランカの同時爆破テロと紛争問題

昨日スリランカの8箇所で同時爆破テロが起こり、300人近くが亡くなった。2009年に内戦の終結以来、年率4−5%の成長率で、他の新興国にキャッチアップすべく頑張ってきた。

 

観光産業も伸びており、昨年は日本人が4万人も訪れているが、それらに水を差した形になる。

 

今回、スリランカで幅を利かせる仏教原理主義者がターゲットではなく、キリスト教会がターゲットになった。

 

政府はイスラム系過激団体(NTJ/ナショナル・タウヒード・ジャマート)が主犯という見方をしている。

 

www.huffingtonpost.jp

 

情報機関には10日前にテロ攻撃の可能性に関するレポートが上がってきていたようだけど、事実上無視されたのは、平和ボケだったのかもしれない。

 

www.nytimes.com

 

ここ半年ぐらいは、大統領府と首相がもめており、首相には大統領府からのセキュリティアラートが上がってこなかったようなので、政争のツケを払わされたとも言える。

flowone.hatenablog.com

 

私がNGOで滞在していた2000年ごろは、この手の爆破テロは日常茶飯事だったので、破壊されるリスクが高い高層ビルなどはなく、ホテルやショッピングセンターなど人が集まるところは、セキュリティチェックが厳しかったが、一昨年訪れた時は、高級ホテルやタワマンがバンバン立ち、Majestic City (大手ショッピングセンター)の入り口にも警備員がほとんどいなくなっていて驚いた。

 

今回の件で、少しこの様子も変わるかもしれない。

 

2000年当時の現地レポートが一新塾HPに残っていた。

www.isshinjuku.com

 

このレポートの通り、戦後のスリランカは「シンハラ・オンリー政策」、つまりマジョリティである仏教系シンハラ人を優遇する政策を進めた。

 

www.mofa.go.jp

 

仏教系過激ナショナリスト団体がこの動きを主導したのはよく知られており、今でもイスラム系の避難民であるロヒンギャに危害を加えていることも報道されている。

 

newsphere.jp

 

余談になるが、「イスラム系過激派」とよく報道されるので、イスラム=怖い、という偏見を持つ人がいるが、スリランカの仏教系ナショナリストはいわゆる過激派そのものだ。つまり、仏教にも原理主義・過激派がいるということで、「宗教が過激かどうかということではない」ということが良く分かる例がスリランカである。

 

そして偏狭なナショナリズムがマイノリティであるタミル人との軋轢を生み、タミル系武装組織「LTTE」を誕生させ、内戦となった。

 

そして「シンハラ・オンリー政策」の影で、タミル人と同じように人権蹂躙されたのがイスラム系で、彼らがイスラム国(IS)の残党等などと連携して起こしたのが、今回の爆破テロというのが政府の見立てである。

 

また今年3月に発生したニュージーランドのモスク襲撃の報復との見方もある。

www3.nhk.or.jp

 

いずれにしろ、多民族国家というのがバランスが命であり、極端な政策をとると、そのツケを長年払わされる結果となる。

 

スリランカ内戦は2009年に集結したが、今後のどうなるのか注視したい。