何か新しいことをやろうとすると「それは無理だ」「難しい」「時期尚早だ」「リスクがあるのでは」と、(骨髄反射的に)すぐに反対する人っていませんか?
そんなとき、どんなリアクションをすれば良いのでしょうか?
筆者はネガティヴ思考の人が大嫌いなので、
1)無視する
2)どうしても必要なら説得(論破)する
というチョイスをしてきました。実際、反対する人に「なぜ反対するのか?」と理由を聞いても、意味のある答え(言い訳)が出てくることはほとんどありません。大概は下記のような会話になります。
私「何が難しいんでしょうか?」
相手「それは、まあいろいろと」
私「具体的には何ですか?一つ例をあげてください」
相手「それが言うのが難しいんだよ。いろいろあってね」
私「いろいろって何ですか?」
相手「うるさいな!お前とは話したくない」
このような不毛な会話になるのが関の山です。(当然関係は悪くなります)
同じように、イノベーションの必要性が叫ばれる時代に、社員から出てくる
「できない理由」
に頭を痛めているマネージャーや経営者は少なくありません。それもあってか、こんな商品も売られています。
ただ、この額をオフィスに飾る効果は未知数です。。。。
では、具体的にどうすればいいのか?
下記に「できない理由」をいう人を強い味方にするための2つの番組があります。まず1つ目はこちら。
いわゆる「なぜなぜ分析」を人間関係に使ってはいけない理由がよくわかる番組です。
でも、言ってしまいがちですよね。「なぜ」って。でも、それは禁句なんです。
次にこの番組。
詳しくは番組をご覧いただければと思いますが、実は「できない理由」をうまく活用することで、成功確率を上げることが可能になります。
番組で語られている「フルキット(Full Kit)」という言葉は、もともと軍事用語で、戦場に行く前の完全装備を意味し「Full-kitted」といったように英語では一般動詞として普通に使われます。
いったん戦場に入った後で「銃が壊れていた」「防弾チョッキに欠陥があった「無線が使えない」といってももう手遅れ。準備不足=命に関わるので、まさに命がけで”万全の準備”を行います。
だからこそ「心配事」「できない理由」「ネガティヴ思考」など、リスクを潰し生存確率を高めるプロセスがフルキットの中に組み込まれているという訳です。
例えば「できない理由を言うな!」「気合が足りない」と檄を飛ばし、現場の声を一切聞かずに戦場に突撃させる士官が率いる部隊と、
現場をよく知る隊員の懸念を十分に汲み取り、それらを徹底的に潰し、勝てるための入念なフルキットを行った上で、戦場に行く士官が率いる部隊がいたら、どちらが生存確率が高いかは容易に想像できます。
もちろん「知らないこと」「初めてのこと」をやる際には、漠然としたリスクを感じたり、怖いと思うのは当たり前です。また、やったことがなければフルキットの要件すら分からないかもしれません。
そんな時は、POC(Proof of Concept/実証実験) によって、もやもやしたリスクを言語化したり、そのリスクをフルキットで解消するプロセス等も必要になりますが、いづれにしても「できない理由」が出てきた時に
「言い訳」
と切り捨てる前に、一息ついてこの動画を思い出していただくと、思わぬ落とし穴を回避できるヒントがあるかも知れません。
ちなみに、TOC(制約理論)はアメリカ空軍(US AirForce)の装備メンテナンスや日本の航空自衛隊の”フルキット”でも実際に活用されています。
下記でUS AirForceのブッシュ中将(Lt General)がその適用状況についてプレゼンされている動画が公開されていますので、ご興味がある方はどうぞ。
生死を分ける現場で使われている「フルキット」。ビジネスでも使えない訳がありません。
*このコラムは、こちらにも寄稿しています。