大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

老後資金にいくら必要か(「貯蓄がまったくない世帯」が1/3)

仕事の関連で、日本の老後資金をリサーチ中。

ざっくりいえば85歳で死ぬまで、年金との生活費の差額として2000−3000万円の自己資金が必要。

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さらに、ゆとりのある生活を望むなら4000万円の自己資金が必要です。

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では、どれぐらいの人がそれを持っているかといえば、一番信頼できそうなのが日銀内の「金融広報中央委員会」のデータです。

40代 貯蓄のない世帯30.4% 平均値614万円 中央値300万円

50代 貯蓄のない世帯29.5% 平均値1124万円 中央値408万円

60代 貯蓄のない世帯28.1% 平均値1765万円 中央値740万円

実に「貯蓄がまったくない世帯」が1/3というのが実態なんですね。

また資産を持っている人とない人が極端にいるので、平均値より中央値の方が実勢に近いようです。したがって740万円というのが現実に近い数字です。

(蛇足ながら、日本の労働人口の30 %を占める大企業従業員の退職金は平均2000万円ですが、中小企業は全く別世界です。)

家/土地などの資産を入れると実態としての資産はもう少し多いようですが、持ち家は実質死ぬまで売れないし、突然大きな病にかかって高度な手術や通院が必要になったり、介護付き老人ホームに入ったりすれば、数千万円は割と簡単に吹っ飛ぶ数字。

したがって親戚に迷惑をかけたり、老後破綻しないためには、死ぬまで2−3千万円は保険として持っておくのは仕方がないのが日本の現状だと思われます。(良い悪いという価値観云々ではなく)

もちろん家を担保に借り入れする手(リバースモーゲージ)もありますが、持ち家がなんだかんだと言って取られるリスクがあるのではないか、先祖代々の土地うんぬんという心理的な抵抗感以外にも、制度としてこれからという感じ。金利もやや高め(

そもそも公的年金が現在の形で維持されるかも相当「?」なので、少なくとも現状ではできるだけ自衛策を講じるのが得策に見えます。

もちろん、退職金を使って起業したり、積極的に運用するする手もない訳ではありませんし、体が動くうちは適度に働いて儲けた方が精神衛生上良いと思います。


家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成26年調査結果

http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/yoron2014fut/

将来かかるお金ともらえる年金を徹底解説!老後破綻を避ける 「40代からのお金の強化書」(週刊ダイヤモンド編集部)

http://diamond.jp/articles/-/28750

老人漂流社会 “老後破産”の現実/NHKスペシャル

http://www.at-douga.com/?p=12130