大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

コラム>LINE森川社長、「交渉はジャズに似ている」

LINE社長の森川さんが交渉術本を読んで書かれているコラム(LINE森川社長、「交渉はジャズに似ている」)を興味深く読みました。


交渉は創造である ハーバードビジネススクール特別講義交渉は創造である ハーバードビジネススクール特別講義
(2014/11/14)
マイケル ウィーラー

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特に面白かったのは下記の部分。

本書で著者は、交渉に入る前に、次の三つの問いに答えることが必要だと述べています。それは、「交渉するべきか」「タイミングは今か」「全てを懸けるべきか」の三つ。この中で、私が特に重要だと思うのは、二つ目の「タイミングは今か」です。

ホント、タイミングって本当に大事ですよね。自分側がどの体制で交渉するのかで、結果はかなり変わってきますから。早すぎてもダメだし、遅すぎるもダメ。

交渉において、急いで結論を出さなければならない場合には、それが相手に見透かされると、必要以上の妥協を強いられてしまうことになります。また、何がなんでも相手と合意しなければならない、といった状況では、こちらに不利な条件をいくつも飲まなければいけなくなるでしょう。そうならないためにも、強気でありながら柔軟に、かつ粘り強く交渉できるようなタイミングを見極めることが、とても大事なのです。

これはタイミングとも関連しますが、交渉学では定番の

BATNA(Best Alterative to a Negotiation Agreement)バトナ」

と同じ意味です。つまり

「急いで結論を出さなければならない」

というのは選択肢=BATNAが少ない状態を示しており、それを見透かされると足下を見られるという事。交渉では「ポーカーフェイス」が大事だと言われるゆえんは、この辺りにあります。

つまり、BATNAが少なくて崖っぷちでも、涼しい顔をしてBATNAがたくさんあるように振るまうことが、時には有効なのです。

逆に坂本龍馬の様に、BATNAがない状態なのに大御所の懐に飛び込んで、その純粋さや、むしゃらっぷりを買われて交渉を成功させることもあります。

またその段階を超えて、同じ船に乗る仲間として腹を割って話すフェーズにどのタイミングで移行するかも、本当に大事です。

ということで、いろいろなヒントが得られるコラムでした。