大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

「見える化」がモチベーションを上げる(大人の社会見学とホーソン効果)

まずはこの工事現場の写真をご覧ください。

miseru.png

「魅せる現場 魅せる仕事」

と大きく書いてあります。これは現場で工事している人にどんな心理的影響を与えるでしょうか?「安全第一」「指差し確認」のような”上から目線”の標語よりも、「子どもに自慢できるような、ちゃんと仕事をしよう」という気にならないでしょうか?

ここ数年、工事現場や工場の視察ツアーがブームです。それも子ども向けだけでなく「大人の社会見学」という位置づけの大人向けツアーも流行っています。その背景にあるものは何でしょうか?

企業にとって対外的な宣伝効果があるのはもちろんですが、それ以上に重要なのは社員のモチベーションが上がることなのです。

工事現場はエンタメ…ライブ感、カップルも魅了 」(2013/4/7 6:30日本経済新聞 電子版)

という記事中にこんな一文があります。

施工者側には最近、見学者を意識して、工事の概要や進捗状況を現場で紹介する動きも広がる。「外部の人に見られていると緊張感が保てて張り合いもある」(都内の工事関係者)

やはり見学者だけではなく、施工者側のモチベーションアップにつながっているのです。

同じ系統のニュースに下記のようなものがあります。

ソフトバンク「フォトビジョン」と「法人フォト管理サービス」 を組み合わせて活用 作り手のこだわりを施主さまと共有するためのサービスとして提供

これは、デジタルフォトフレームを使って、住宅建設業者が施主に対し、自宅が建築されているよう様子を毎日送るという事例です。(このアイデアの元は、私の知り合いが作ったそうです。)

こちらもプロセスの「見える化」によって、施主の満足度だけでなく、大工さんなどのモチベーションがアップしているのが分かります。

これらが表しているのは、人に注目されることで自然にモチベーションが上がり、結果として生産性もアップするという「ホーソン効果」がうまく働いていることです。

各部門が自分たちの仕事をどんどん公開し、ホーソン効果が得られるような職場を作ることは「環境コントロール」をうまい活用例と言えそうです。