大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

トランプ大統領の400倍排外主義の日本の難民問題を考える

トランプ大統領が難民受け入れを一時中止したことで、スタバやアップルが難民雇用の声明を出したり、逆にそれらの企業の不買運動が起こるなど、いろいろ物議を醸しています。

 

翻って我が日本をみると今回のトランプ政権よりも、400倍排外主義的なのが現実です。


実際、日本の難民受け入れ率は「先進国中最低」の0.2%(2013年の世界平均は32%)です。

 

もちろん現在でも99%の難民申請を拒否しているです。


歴史的にベトナム難民などを排除し続けてきた日本は、今回トランプさんにどうこう言える立場にないのです。(大きなブーメランになってかえって来るからです。)


オーストラリアのターンブル首相がトランプの難民政策に一定の理解を示しているのも、同国がボートポープル問題に悩まされており、国民の間にも、「なんであいつらのために税金を使わなきゃならんのだ」という思いがあるからです。

 

その後、オーストラリア難民の一部を米国が引き受けるという約束をトランプさんが反故する訳ですが。

www.newsweekjapan.jp

 

大晦日のケルン(独)で起こったような一部の難民による犯罪が各地で増えれば、国内世論が右に行くのも不思議ではありません。


2008年から急激な人口減少をはじめている日本では、移民政策を問われますし、お隣の北朝鮮が崩壊すれば、当然大量のボート難民が日本に来ることが予測されるわけで、決して対岸の火事ではないのです。


私は今のうちに国内で難民申請をしている人を積極的に受け入れ、来たるべきときに備えるべきだと思っています。

 

”排外主義、米国第一主義のトランプ大統領が難民受け入れ制限をして打ち出した「5万」という数字は、法務省が発表した日本の2015年の難民受け入れ実績125名の実に400倍です(法務省「我が国における難民庇護の状況等」によれば、難民及びその他の庇護合計125名の内訳は、ミャンマーからの第三国定住難民19名、認定難民27名、難民不認定とされたものの、人道上の配慮を理由に在留が認められた79名)。”

 

www.huffingtonpost.jp

こんなシニア転職は失敗する(気をつけるべきこと)

シニアの転職と教育についてちょっと調べていますが、大企業で身につけたスキルを、伸び盛りのベンチャーや中小企業が求めているケースは結構あります。

 

ところが転職してすぐにクビになるケースもかなりあります。


理由は

 

ー「普通の会社では・・・」みたいな発言を連発周りに嫌われる

ー指示するだけで自分で動こうとしない

ー転職先の社長に「勝とう」とする

 

といったこと。平たく言えば「偉そう」なんです。で、半年ぐらいで切られるという訳です。

 

もちろん、本人のプライドもあるので「そんなのは向こうが悪い」と本人も思っているんですが。


もちろん人脈が重宝されてもうちょっとクビが伸びる場合もありますが、人脈紹介が一通り終わったら、用済みとなります(かつて中国や韓国企業に引き抜かれて3−4年後にクビになったエンジニアに似ているかも。。)


新人が「指示待ち人間」として批判されることは多いですが、「指示だけ人間」も困りますね。もちろん大企業の役員だと自分で全部やるわけにはいかないので、指示中心の仕事になるんですが、その切り替えがうまく行く人と、いかない人が極端に分かれるのです。

 

誰も指摘してくれないですし。


そのようなリスクのある役職定年の方々に向けて、マインドを切り替える教育システムの提案を相談されてるのですが、良いソルーションを思いつかず、考え中です。

 

gendai.ismedia.jp

 

築地の豊洲移転問題の「論点」

築地市場豊洲移転を巡って迷走中の東京都ですが、そもそも移転する必要は本当にあるのでしょうか?

というのも、築地の取扱量はこの15年ぐらいでも30−40%ダウンしているからです。

 

その理由として、

 

「施設の老朽化」「経営者の高齢化」「食文化の変化」

 

など、いろいろ挙げられますが、そもそも鮮魚や生鮮食品の流通はインターネットに急速にシフトしており、漁港などと相対で取引する産直取引のトレンドが毎年強くなっています。

 

スーパーが自社農場で育てた野菜を売ったり、農家と直接契約して産直で仕入れたり、道の駅が拡大してネット通販するようなトレンドは、これからもどんどん加速します。

 

したがって、20年後には「いちいち一箇所に集める」という発想自体が古くなっている可能性が相当高いのです。

 

つまり今回解こうとしている問題の「論点」自体が微妙なのです。

 

すでに取扱量が半減しているのですから、築地の現在の敷地の半分を閉鎖して、そこに新施設を作り、できたところでそこにみんな移って終わり、ということにできないのでしょうか?

 

そうすれば、引き続きアナログ的な商売がしたい人や、その風情を楽しみたい人のニーズも満たせるのではないでしょうか?(東京証券取引所での立会い取引が廃止され、すべてコンピューター管理されているにもかかわらず、一応見学ツアーができるようになっているのとは同じイメージです)

 

紆余曲折を経て開場したとしても、年間100億円の赤字が見込まれます。そして売り上げが年々下がっていく訳ですから、赤字幅も拡大していく茨の道です。

 

www.nikkei.com

ニーズを聞き出すために、仮説や情報をぶつけてみる

Open Questionで相手のニーズを聞き出すのは結構ハードルが高い。したがって、まずは情報を当ててみて、そこから芋づる式にニーズを探り当てたほうがよいということがわかる。

「『わたしに何でも聞いてください』とチャットボットに問いかけられても、ユーザーは何を聞いていいのか分からない。でも『こちらの商品が新しく発売になりました。青と赤ではどちらの色がお好みですか?』と聞かれれば、より答えやすい。そうしてユーザーの選択を支援してあげれば、ユーザーはより買いやすくなるみたいなんです」。

 

ai-4-u.com

無人化に進む「おもてなし」コンビニ

AmazonGOが巷で話題ですが、コンビニやファストフード店でボトルネックになってきているのは人材確保とコストですから、無人化の方向に行くのは不可避です。

diamond.jp

どうしても人の接客に対するニーズが高ければ、ホログラフィーで3D的に写すとか、そういう方向にいきます。まずは秋葉原とかで先行して。


すでに人間と機械のハイブリットレジはローソンやイオンとかで稼働していますし、全て機械化するのは時間の問題と言えるでしょう。

 

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マネジメントコントロール的に言うならば、Action Control(行動コントロール)できる仕事は作業が「標準化」できると言うことを意味しており、いずれはアウトソースされたり、AIで機械化される運命にあることを示しています。

 

さらにマシンならば24時間稼働させ続けてもコストが平準化でき、その上代替もききます。したがって、こちらに方向に行かない理由がありません。

 

もう少し考察すると、そもそもサービス業は本質的に3つの方向(効率至上主義・おもてなし・イノベーション)に特化する運命にあります。

 

これまでコンビニやファストフードは「効率至上主義」の代表格でしたが、AIの発展で今後「効率」に「おもてなし」が追加されます。

 

つまり、下手なバイトさんよりも、AIをベースにしたロボットの接客により、人間よりもおもてなしが実現されてしまうと言うことです。アマゾンのリコメンデーションシステムのリアル発展版みたいな感じになるでしょう。

 

flowone.hatenablog.com

 

ーー

おまけ

その後は、より人間的な接客をロボットにさせようとして人間の記憶をロボットに埋め込むことでロボットが人格を持ち、ある日人間に対して反乱を起こす。。。というのが名画「ブレードランナー」の世界です。

交渉術とマーケティングの共通点(マレッジブルー)

相手に「商品」を売るのがマーケティング、「アイデア」を売る(受け入れてもらう)のが交渉術

 

と考えれば、マーケティングと交渉術で使えるスキルやコンセプトはかなり共通するものがあるのがわかる。

 

たとえば、マーケッターの神田昌典さんが世に広めた

 

21日感動プログラム

 

というマーケティングスキルがある。これはお客さんがモノやサービスを購入してから21日以内に3回フォローアップせよというものだ。

 

そしてその3回のコンタクトの中で「あなたの決断がいかに賢かったか」を繰り返し伝える。

 

なぜか?

 

それは、お客さんが多かれ少なかれ、自分の行った決断に不安を抱いているから。

 

何かを選ぶという行為というは、膨大にあった他の選択を放棄するということに他ならない。だから、「そんな重大な決断をしてしまって大丈夫だったのか」という極端な不安が、平均的に21日ぐらいは続く。

 

交渉術用語でいうと「BATNA(Best Alternative to A Negotiated Agreement」、つまり保険としてのセカンドオプションを放棄して、何かひとつにコミットすることは不安を伴う。

 

当然この期間はクーリングオフも多い。(カッコよくいうならPNR=Point of No Returnの間は、キャンセル確率が高い。)

 

結婚で例えるなら「マレッジブルー」の状態と同じだ。リクルートゼクシィのアンケート調査によると、女性の76%は、「本当にこの人でよかったのか」という思いから、結婚前に不安感に陥ってしまう。(割合は減るけど、おそらく男性も同じだろう。)

 

だからこの期間に「この決断でよかったのだ」というメッセージを送り続けないと、婚約は「クーリングオフ」されてしまうかもしれないし、昔の用語だと「成田離婚」になってしまう。

 

逆にここで信頼感を勝ち取れば、マーケティングで言えばリピーターを増やすことにつながり、結婚で言えば夫婦生活の最初の関門をくぐったことになる。

 

また決断をする側の人は「リアリティショック」(理想と現実のギャップ)が起こることを前提として、意図的に期待値を下げておいた方が良い場合もある。

 

まあ、考え過ぎても決断できないので、時の流れに身を任せた方がいいこともあるが、できるならリスクは積極的にコントロールしたいところ。そうでなければ、メインの選択肢(Best Choice)さえ失ってしまうこともあり得る。

成長率11倍!ボトルネックで読み解くvユニクロの減速とGUの快進撃

何かといつも立ち寄ってしまうユニクロですが、

2016年度の決算(決算期:2016年8月)は、増収減益でした。

 

Yahoo! ファイナンス:(株)ファーストリテイリング 

profile.yahoo.co.jp

特に国内の成長率は対前期比3%で成長が鈍化し、純利益は半減とのこと。50%減はさすがに大きいですね。

 

このニュースに関して、百式コンサルの鈴木さんが面白いコラムを
書かれています。


▼ジーユーが兄貴分のユニクロをたぶん追い抜く理由
 鈴木貴博 [百年コンサルティング代表]
 

diamond.jp

ポイントは若者向けのハイファッションである「GU(ジーユー)」
の成長率にフォーカスしている点。

 

メインの国内ユニクロの3%増に比べ、GUの営業利益の伸び率
は33%。もちろん売上規模は、まだファーストリテイリング
全売上の1/10程度ですが、伸び率は11倍なんですね。

 

GUを率いる柚木さんには、2002年ごろにMBAの勉強会でお会いしたのをよく覚えています。

 

当時は、ユニクロが新規事業として始めた有機野菜会社(FRフーズ)の社長という肩書きで講演をお聞きしたのですが、実家が八百屋さんとのことで、
野菜商売に関する知見や思い入れ(気合い)を感じました。

 

その後、永田農法を売りしたユニクロ野菜事業が26億円の赤字を出してこけてしまい、早々に店じまいしてしまったので、

 

「柚木さんどうなったんだろうなあ」

 

と思っていました。

 

その後のインタビュー記事で柳井社長から

 

「柚木君、会社辞めようなんて思ってないよね。損失分のお金はきっちり返してね」

 

と言われたそうで、当時苦戦していたGUの経営に参画されています。

 

▼「ユニクロにはできなかったことを」を掲げたジーユーの改革
 ジーユー代表取締役社長 柚木 治氏

diamond.jp

一度ミソのついた柚木さんをアサインする柳生さんもすごいなと思いますが、GUはそれから快進撃で成長します。

 

当時はユニクロが「ユニクロプラス」とか、様々なブランド戦略を打ち出していた頃で、MBAクラスで

 

「”ユニクロの廉価版”GUをどういうポジショニングにするべきか」

 

なんて議論が盛んに行われていました。

 

ユニクロがGUなんていう質の劣るブランドを運営するとマイナスのインパクトが大きい」

 

といった意見も当時多かったのですが、今になって、GUがユニクロ本体の救世主になるかも知れないと言われているのですから面白いものです。


さて、ここからがポイントなのですが、上記のコラムでで鈴木さんが
こんなことをおっしゃっています。

 「残念なことに、ユニクロの商品は品質がいい。4~5年は着ないと 形が崩れてこない。だからユニクロの定番商品の売上は、その地域に店舗が根を下ろして10年くらいすると頭打ちになってくる。」

 

これ、確かにその通りです。

で、これを消費者の購買行動をプロセス分解してみると、GUのビジネスモデルが「ボトルネック」をうまく解消しているのがわかります。

 

ボトルネックと何かと言うと、全体のフローの中で流れが悪くなっている箇所のことです。

 

例えばA,B,Cの3つの工程があるフローの全体効率は最も効率が悪いボトルネックの効率性に制約されてしまう。

 

仮にCの効率が、3個/日だとすると、AやBが50個/日だとしても、このフロー全体の1日あたりの効率は3個/日です。

 

だからこの3個/日(=専門的にはスループットといいます)を改善するには、Cに集中する必要があるわけです。そして、多くのBtoCビジネスでボトルネックになっているのが、「消費者のクローゼット」なんです。

つまり

 

「欲しいけど、もうクローゼットに入らない」

 

という状態を指します。


▼タンスの「不良在庫」? 消費者のボトルネックを解消する
 

flowone-lab.com

GUやH&M, ZARAなどのハイファッションブランドの何が強いかというと、

 

「古くする=来年ダサくする」

 

ことで、クローゼットの在庫を処分させることなんですね。
(ベーシックカジュアルのユニクロにはできない技です)

 

それが「エコ」というとエコじゃないのですが、商売としてはやはり上手いと思います。

 

ユニクロ本体も、なにか消費者のクローゼットというボトルネック
解消するエコなモデルを作れるとすると、次なる成長のきっかけが掴める
かも知れませんし、陳腐化戦略はGUに任せておくという手もあります。

選択と集中

なんていいますが、当時かなりやばいと言われていた
GUが化けるんですから、下手に集中しすぎるのも良くないかも
知れません。

 

恥ずかしながら、私はGUに行かないし、多少ネガディブでしたが、そもそもターゲットが10ー20代なんですから、私が行かないこと自体がブランドとして成功している証しなんでしょうね。