何かといつも立ち寄ってしまうユニクロですが、
2016年度の決算(決算期:2016年8月)は、増収減益でした。
▼Yahoo! ファイナンス:(株)ファーストリテイリング
特に国内の成長率は対前期比3%で成長が鈍化し、純利益は半減とのこと。50%減はさすがに大きいですね。
このニュースに関して、百式コンサルの鈴木さんが面白いコラムを
書かれています。
▼ジーユーが兄貴分のユニクロをたぶん追い抜く理由
鈴木貴博 [百年コンサルティング代表]
ポイントは若者向けのハイファッションである「GU(ジーユー)」
の成長率にフォーカスしている点。
メインの国内ユニクロの3%増に比べ、GUの営業利益の伸び率
は33%。もちろん売上規模は、まだファーストリテイリングの
全売上の1/10程度ですが、伸び率は11倍なんですね。
GUを率いる柚木さんには、2002年ごろにMBAの勉強会でお会いしたのをよく覚えています。
当時は、ユニクロが新規事業として始めた有機野菜会社(FRフーズ)の社長という肩書きで講演をお聞きしたのですが、実家が八百屋さんとのことで、
野菜商売に関する知見や思い入れ(気合い)を感じました。
その後、永田農法を売りしたユニクロ野菜事業が26億円の赤字を出してこけてしまい、早々に店じまいしてしまったので、
「柚木さんどうなったんだろうなあ」
と思っていました。
その後のインタビュー記事で柳井社長から
「柚木君、会社辞めようなんて思ってないよね。損失分のお金はきっちり返してね」
と言われたそうで、当時苦戦していたGUの経営に参画されています。
▼「ユニクロにはできなかったことを」を掲げたジーユーの改革
ジーユー代表取締役社長 柚木 治氏
一度ミソのついた柚木さんをアサインする柳生さんもすごいなと思いますが、GUはそれから快進撃で成長します。
当時はユニクロが「ユニクロプラス」とか、様々なブランド戦略を打ち出していた頃で、MBAクラスで
「”ユニクロの廉価版”GUをどういうポジショニングにするべきか」
なんて議論が盛んに行われていました。
「ユニクロがGUなんていう質の劣るブランドを運営するとマイナスのインパクトが大きい」
といった意見も当時多かったのですが、今になって、GUがユニクロ本体の救世主になるかも知れないと言われているのですから面白いものです。
さて、ここからがポイントなのですが、上記のコラムでで鈴木さんが
こんなことをおっしゃっています。
「残念なことに、ユニクロの商品は品質がいい。4~5年は着ないと 形が崩れてこない。だからユニクロの定番商品の売上は、その地域に店舗が根を下ろして10年くらいすると頭打ちになってくる。」
これ、確かにその通りです。
で、これを消費者の購買行動をプロセス分解してみると、GUのビジネスモデルが「ボトルネック」をうまく解消しているのがわかります。
ボトルネックと何かと言うと、全体のフローの中で流れが悪くなっている箇所のことです。
例えばA,B,Cの3つの工程があるフローの全体効率は最も効率が悪いボトルネックの効率性に制約されてしまう。
仮にCの効率が、3個/日だとすると、AやBが50個/日だとしても、このフロー全体の1日あたりの効率は3個/日です。
だからこの3個/日(=専門的にはスループットといいます)を改善するには、Cに集中する必要があるわけです。そして、多くのBtoCビジネスでボトルネックになっているのが、「消費者のクローゼット」なんです。
つまり
「欲しいけど、もうクローゼットに入らない」
という状態を指します。
▼タンスの「不良在庫」? 消費者のボトルネックを解消する
GUやH&M, ZARAなどのハイファッションブランドの何が強いかというと、
「古くする=来年ダサくする」
ことで、クローゼットの在庫を処分させることなんですね。
(ベーシックカジュアルのユニクロにはできない技です)
それが「エコ」というとエコじゃないのですが、商売としてはやはり上手いと思います。
ユニクロ本体も、なにか消費者のクローゼットというボトルネックを
解消するエコなモデルを作れるとすると、次なる成長のきっかけが掴める
かも知れませんし、陳腐化戦略はGUに任せておくという手もあります。
「選択と集中」
なんていいますが、当時かなりやばいと言われていた
GUが化けるんですから、下手に集中しすぎるのも良くないかも
知れません。
恥ずかしながら、私はGUに行かないし、多少ネガディブでしたが、そもそもターゲットが10ー20代なんですから、私が行かないこと自体がブランドとして成功している証しなんでしょうね。