大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

交渉術とマーケティングの共通点(マレッジブルー)

相手に「商品」を売るのがマーケティング、「アイデア」を売る(受け入れてもらう)のが交渉術

 

と考えれば、マーケティングと交渉術で使えるスキルやコンセプトはかなり共通するものがあるのがわかる。

 

たとえば、マーケッターの神田昌典さんが世に広めた

 

21日感動プログラム

 

というマーケティングスキルがある。これはお客さんがモノやサービスを購入してから21日以内に3回フォローアップせよというものだ。

 

そしてその3回のコンタクトの中で「あなたの決断がいかに賢かったか」を繰り返し伝える。

 

なぜか?

 

それは、お客さんが多かれ少なかれ、自分の行った決断に不安を抱いているから。

 

何かを選ぶという行為というは、膨大にあった他の選択を放棄するということに他ならない。だから、「そんな重大な決断をしてしまって大丈夫だったのか」という極端な不安が、平均的に21日ぐらいは続く。

 

交渉術用語でいうと「BATNA(Best Alternative to A Negotiated Agreement」、つまり保険としてのセカンドオプションを放棄して、何かひとつにコミットすることは不安を伴う。

 

当然この期間はクーリングオフも多い。(カッコよくいうならPNR=Point of No Returnの間は、キャンセル確率が高い。)

 

結婚で例えるなら「マレッジブルー」の状態と同じだ。リクルートゼクシィのアンケート調査によると、女性の76%は、「本当にこの人でよかったのか」という思いから、結婚前に不安感に陥ってしまう。(割合は減るけど、おそらく男性も同じだろう。)

 

だからこの期間に「この決断でよかったのだ」というメッセージを送り続けないと、婚約は「クーリングオフ」されてしまうかもしれないし、昔の用語だと「成田離婚」になってしまう。

 

逆にここで信頼感を勝ち取れば、マーケティングで言えばリピーターを増やすことにつながり、結婚で言えば夫婦生活の最初の関門をくぐったことになる。

 

また決断をする側の人は「リアリティショック」(理想と現実のギャップ)が起こることを前提として、意図的に期待値を下げておいた方が良い場合もある。

 

まあ、考え過ぎても決断できないので、時の流れに身を任せた方がいいこともあるが、できるならリスクは積極的にコントロールしたいところ。そうでなければ、メインの選択肢(Best Choice)さえ失ってしまうこともあり得る。