作成中のiPhoneアプリが、無事アップルの審査を通過し、2014/5/12発売が決定しました!
タイトルは「英語リスニングRPG トイクルヒーロー」(販売価格200円)です。
内容は、昨年リリースした「英語発音RPG トイクルクエスト」をベースに大幅にパワーアップした内容になっておりますが、今回の大きなセールスポイントは下記の2点です。
1)iOS7から実装された「音声読み上げ機能」を最大活用
2)英語の語源学習にフォーカスしたストーリーと敵キャラ
前回のバージョンは、SIRI(iPhoneとの会話機能)を利用して、発音の訓練が出来るのが最大のウリでしたが、
・「声を出す必要があるため、電車の中でプレイできない」
・「ネイティブ用なので、かなり正確に発音しないと認識してくれない」
などの課題を抱えていました。
今回の新アプリは「リスニング」なので、それらの課題を解決しています。(もちろん、「発音」が大事なのはいうまでもありませんが・・!)
さらに英語の「語源」を中心コンセプトに置いており、ゲームをプレイすればするほど、英単語に関する感覚が研ぎすまされるように設計しています。
実際の世界でも英語感覚が鋭くなると、知らない単語を見た時に
・これは何となくポジティブな単語だな
・なんだか、うるさそうな音のする言葉だな
・冷たいニュアンスがする
といった具合に、右脳的にイメージが浮かぶようになります。
また知らない英単語を覚えるときには大きな威力を発揮します。たとえば海外の大学で生物学(Biology)や宗教学(Religion), 天文学(Astronomy)を学ぶと、英和辞典に載っていない難解な単語が怒濤のように登場します。
ところが英語の語源であるラテン語/ギリシャ語のパーツの意味をなんとなくおさえていれば、多くの単語で意味が予想できる上、暗記も格段に簡単になります。
同じ理由で英語と語源を同じくするフランス語やイタリア語を学ぶときにも、法律や医学、ITなどの専門分野を学ぶ時も、単語のパーツが分かれば、おおよそのニュアンスが掴めるようになります。(ちょうど中国語の新聞を見た時、漢字でなんとなく意味が分かるような感覚です。)
たとえば「remit」という単語に初めて出会ったとします。
「知らないな」ということで辞書を引くと「送金する」という意味だと分かります。
そこで「remit=送金する」と暗記する訳ですが、これだけでは数日後には忘れてしまうかも知れません。
そこで語源を考えてみます。
するとremitという単語は「再び」を意味する「re」と、「送る」を意味する「mit」の合成語である事が分かります。
なぜ「再び+送る」が「送金する」という意味になるのだろう、ということでさらに調べていくと、「借金した人が、やっと返せるだけお金をためたので、貸し主にそれを返す」という意味が原義になっている事が分かります。
どうでしょう。なんだかイメージが湧いてきませんか?このように単語を見てイメージがわくようになれば、記憶はぐーんと楽になります。
さらに「mit」というつづりから、「transmit」(=送信する *trans(超えて)+mit)、permit(許可する), admit(認める),emit(発する)、 submitなどの単語がある事が分かります。
submitは、sub+mitに分けられ、subは地下鉄(サブウェイ)のsub=下という意味だと分かります。ということは「下に送る」ってどういう意味ということになるのですが、「下々の者に対して王様がおふれを出す」ので、「従わせる・従う」、また下の者に伝えるという事で、「提出する」という意味なるのです。
またキリスト教系の学校を「ミッション系」と言いますが、元々missionとは「使命」の事。バチカンから宣教師(ミッショナリー)として世界に「送られた」人々が持っていた志が、ミッションなのです。
「まるでミステリー小説みたい!」と思ったらしめたもの。どんどんハマっているうちに英語が得意になります。
「トイクルヒーロー」でも、できるだけ敵キャラと特徴や名前と、攻撃として出題してくる単語が関連するようにデザインしています。
逆に「ゲームはゲーム、内容は内容」という形で分離しているゲームは、ゲームに偏りすぎると学習がおろそかになり、学習に偏るといわゆる「クソゲー」になりがち。したがってどう融合するかが最も大事なところです
ということで、かなり気合いの入った作りのゲームになっています。
●ゲーミフィケーションとEラーニング
今回ゲームアプリをリリースしたのには理由があります。
それは、ゲームがこれからのEラーニングのキーテクノロジーになるだろうと考えているからです。
例えば、
「Aという場所に行って、課題B、Cをクリアすれば第一ステージクリア」
というシナリオを作るとします。
これを、(私のような!)ゲーム作りの素人が、シナリオに落とそうとすると、どうしても
「お城の北にある塔の最上階で、アイテムを取ってくる必要がある」
というかなり(わざとらしい)直接的なメッセージを、誰かにしゃべらせようという浅はかな発想になりがちです。
一方、これをゲームのプロが作ると、
「むこうの塔には怖いモンスターがいるらしいよ」
「大勢がそこで、命を落としたらしい。怖いな。」
「何かてっぺんに、スゴいお宝があるらしいけど。」
と、複数の人に言わせながら、プレーヤーが
「そうか。それなら自分がその宝を手に入れてやろう」
と自発的に思わせるようにうまく仕向けるのです。
そうでなければ、プレーヤーはミッションを達成する事に違和感や持ったり、制作者の意図が前に出すぎて「やらされ感」を感じてしまい、すぐにプレイを放棄してしまうからです。
またiPhoneなどはうまく出来ていますが、マニュアルを読まなくても触っているうちに操作方法が自然に分かるUI(ユーザーインターフェイス)なり、ゲーム構成にするのが基本中の基本です。(ゲームを始める前に、分厚いマニュアルを読まないとプレイできないゲームって、いかにも流行りそうにないですよね。その点、スーパーマリオの第一ステージは神がかっています。)
・・と、こんなことをゲーム作成のプロの厳しい指導を仰ぎながら、作った集大成が今回のアプリです。
ここ数年、こういったゲームのロジックを他分野に活用する「ゲーミフィケーション」が注目されていますが、ゲームの作成をしながら、マネジメントのヒントが一杯だなと改めて感じています。
さらに受講生に対して強制力が効きにくい(=脱落率が高い)Eラーニングに、ゲーミフィケーションはまさにうってつけの手法だと確信しています。
上記以外にも、操作方法を間違えないようにボタンの大きさを換えたり、スマホゲームになれていない方のために方向キーを追加したり、小さな達成感(Small Win)を感じられるように細かいゴールや、お金を稼ぐ仕組みを儲けたりと、いろいろ細かい工夫を行っています。
ということで、ぜひアプリをお試しいただけると嬉しいです m(_ _)m
▼アプリ解説+ダウンロード(App Store)ページ
http://www.flow-one.com/hero.html
(余談)
今回ゲームを作成するにあたり、ドラクエ作者の堀井 雄二さん関連の情報をウェブで読んだり、横井軍平さんなど伝説のゲームデザイナーと呼ばれる方々の著者を読んだりしながら、ゲームの世界がこんなにも奥が深いものだと改めて気づきました。また基本的なコンセプトはVR/ARなどの世界でさらに活きてきます。
日本のゲーム業界は苦戦しているようですが、この業界の人々が、ゲーミフィケーションを手がかりに、いろいろな業界に進出してくると面白い世界が広がるだろうなと思います。
「2020年までに日常生活における作業の85%にゲーミフィケーションが組み込まれる」
という予測を発表していますが、ぜひ日本がイニシアティブを取って欲しい(とれる!)と思います。