文科省が公立学校の「週6日制」を検討しているようです。
脱ゆとりで、学力をアップさせる目的なのだそうですが、本当にこの政策が正しいのか疑問が残ります。
PISAテストでは、ある程度「勉強時間」と「学力」の相関性があることが分かっているようですが、下記の記事によればトップレベルの科学技術が集まっている米英独仏は、PISAでトップ10にすら入っておらず、文科省が何を目指そうとしているのか分かりません。
http://mainichi.jp/select/news/20130113k0000m040077000c.html
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110108/edc11010818020011-n1.htm
さらに、文科省のデータ(「学校の授業時間に関する国際比較調査(結果概要)」)では、「PISAの成績」と「学校の授業時間」の関係は、ある程度のしきい値を越えると相関性は薄くなるようなので、どっちにしても、時間よりも、もっと「質(内容)」を追求した方がいいのは明白なようです。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/005/gijiroku/03070801/005.pdf
どうしても学力を上げたいなら、それこそ電子教科書とかEラーニングとか、そういう新しい仕掛けを活用する取り組みを始めるべきだと思います。単純に授業を増やすというのは、解決法ではありません。
まずじっくり検討すべきは下記のポイントです。
①何を教えるのか?(What)
②どうやって教えるか? (How)
③誰が教えるのか? (Who)
①に関しては将来「飯を食う」教育として、ITスキル(アプリの作り方も含め)やファイナンス(まずはクレジットカードやローンなど)などがあります。
どちらかといえば、大学とかビジネススクールは上記のような傾向が強いのですが、初等教育では、絵画鑑賞学や考える力などの基礎的なものと、歴史や哲学、倫理などの、モノゴトを判断するときの指針となるような教育が必要だと思います。
②に関してはIT抜きでは考えられません。電子教科書でも、電子会議システムでも、どんどん導入すべきです。教室では、コミュニケーションを中心とした教室でしかできない事をすればいいのです。(電子黒板など電子インフラだけではダメです)
③に関しては、先生側の質保証やトレーニングが必要です。例えば英語を教える先生は、最低限英会話ができるべきでしょう。(日本の中高の英語担当教師のTOEICは600−700レベルなので、まだきちんとコミュニケーションできるレベルはありません。)このような状況を変えるには、外部講師もどんどん入れるなどして、ある程度競争原理が働くようにし、質の向上が必要かと思います。(学校の先生はどちらかといえば「教育のプロ」として「考える力」の向上に注力すべきかと思います。)