「2位じゃダメなんですか?」
と聞いてワイドショーのコメンテーターやネット上の”識者”に叩かれていたが、法廷で肯定的な証言を引き出すために、質問者(弁護人)があえて否定的な質問をする手法は、欧米のロースクール(法科大学院)で習うデフォルトの尋問スキルだ。
「その必要はなかったんじゃないですか?」
と質問者(弁護人)が質問する事で
「その必要が確かにあった」
事を本人に証言として語らせるという定番スキルなのである。
言い換えれば、質問者は「その必要はない」という自分の「意見」を語っているのではない。あくまで主役は質問される人なのであり、単に意図とする証言を質問者が引き出しているのだ。
「スパコンが一位でなければならない理由」
を多くの視聴者の前で語る絶好のチャンスを蓮舫から与えられていた。
実際に文科省の担当者は 「一位じゃないと意味がない」という趣旨の発言をしていたのだから、こう聞かれるのは想定の範囲内であり、当然といえば当然の質問といえる。
ところがある意味、ホームランが打てるど真ん中にボールが飛んできたのに、担当者の説明は全く要領を得ず、グタグタなまま質疑は終了してしまった。
つまり、絶好のボールが来たのに見事に三振したのだが、なぜかピッチャーが非難されている。
テレビでは、質問の前後文脈をばっさり切り落として
「2位じゃダメなんですか?」
という蓮舫さんの発言を切り抜き、「蓮舫がスパコン開発を非難した」というとんでもなくミスリーディングな報道を行った。
デスクの方針で蓮舫をディスりたいならともかく、まともなジャーナリストがこの記事を本気で書いているなら、もう一回学校で勉強した方が良いと思う。
ごく普通の欧米の知識人からみたら、
「答える方がアカウンタビリティ(説明責任/結果責任)を単に果たせていないだけやん」
となるだけだし、
「2位で良いと発言はけしからん」
的な批判しているコメンテーターは、
「あなたの方がわかってないだけだから、議論の基礎をちゃんと勉強した方がいいよ」
と嘲笑されるのでは。
もちろん当時は「質問者」という立場を踏み越えて、大岡越前並みに自分の意見を語って相手を糾弾する仕訳人もいただろうから、事業仕分けをするときに、その辺りのルールを厳密に設定しておけばよかったのにとは思う。
がんばれ、ニッポン。
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