大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

農家から「脳家」へ

実家の岡山から「シャインマスカット」が届きました。

実家では温室周りのボイラー設備業をやっているので、

農家さんの知り合いが多く、この新種のマスカットは、

取引先の1つである Tさんの温室で採れたもの。

1房の単価は7000円近くもする高級ブドウです。

私も子どもの頃に、父の仕事にくっついてこのTさんの温室に

何度か行った事があるのですが、”大学出のインテリ”と

呼ばれていたTさんは明らかに周りの農家から浮いていました。

農協に言われた通りにブドウを作るのではなく、

植え方を工夫したり、散水する水に磁気浄化装置をつけたりと、

自分で実験を繰り返しながら、非効率な農業をしていたので

周りからは変わり者扱いされていたんです。

30年前のマスカット農家はどこも、まさにウハウハの状態。

年収1000万円以上もらっている人がゴロゴロいて、

その辺の勤め人よりは、よほどいい生活をしていました。

だから、たいして工夫する必要はなかったんです。

ところが時代を経る事に全国のライバルが増加し価格も下落。

もうそんなに甘い世界はどこにもありません。

農家の息子さんもオヤジの懐具合が年々寂しく見ているので、

後継者にならずに、サラリーマンになる人が多く、

典型的な高齢化、後継者不足状態に陥っています。

一方、Tさんは独自の道を進み、農協以外の販路も拡大して

10年ぐらい前から大ブレーク中。

まさに時代がTさんに追いついてきたという感じです。

現在では、出荷分のほとんどを台湾の業者が

高値でガバーっと買取り、海外に輸出しているんだそうです。

(一部はドバイにも輸出)

まさに農家も頭を使って儲ける「脳家」の時代です。

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【コラム】コンプレックスの解消法

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上記のTさんはそこそこ儲かっているので、私の父が

「周りの農家に『農協のいいなりじゃダメ』で、

みんなが憧れてマネするような存在になるために、

高級ベンツに乗ったらどうか」

と提案し、意気投合して一緒にベンツを買いにいったそうです。

で、しばらくそのベンツで近所を走っていると、

だんだんと噂になったそうです。そのリアクションは

いくつかのタイプに分かれたとの事。

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▼リアクション1

「アコギな商売をして儲けたに違いないと攻撃するタイプ」

▼リアクション2

「完全に無視(見て見ない振り)するタイプ」

▼リアクション3

「どうやったらそんなに儲かるかと教えを請いにくるタイプ」

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話を聞いていて、「こりゃ完全にコンプレックス反応だな」と

思いました。特に1、2は、

「認知的不協和」

(自分の認識と現実がマッチしないときにおこる心理的反応)

がネガティブに出ているケースで、1は完全な「反動形成」です。

平たく言えば、うらやましいのを隠すために対象を攻撃する

リアクションです。

よくいますよね。

お金持ちを攻撃したり、自分より幸せそうな人を攻撃する人。

(本当はお金持ちになりたいし、幸せになりたいんです)

自己啓発本を読めば、ほとんど同じ事が書いてありますが、

成功するタイプは「3」です。

でもね・・・変なプライドが邪魔してそんなに簡単に白旗を揚げて、

教えを請えないのが普通の人なんです。

一つシンプルな解決法は自己を客観認知する事。

つまりうらやましい人を攻撃したいという衝動が起こったら

「これは反動形成だな。。」と自分ではっきり意識する事なんです。

私もたまにやっていますが、結構効果がありますよ。

ぜひお試しあれ☆

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週刊メルマガ「大人の学ぶ技術」より

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