電通で新入社員が過労死する痛ましい事件が起こった。
一連の報道を見ていると、問題の本質は、残業時間が長いとか短いという点ではなく、
「部下のレベルに応じた指導をするのが上司の役割である」
ということを直属の上司や部長が明確に認識できていなかったのことであることが見え隠れする。
だから記事に出てくる経営学部の先生のコメントなどは、そもそものイッシューの捉え方に誤りがある。
部下に仕事を丸投げしておいて、
「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」」
などとダメ出ししていいのは、部下にそれなりの基礎スキルとメンタルタフネスがあって、本人の内発的動機に基づいて仕事をしているという前提がある。
これはマネジメントコントロールにいう[Result Control]の適応条件と同じだ。
だったら「抱え込まずにやめたらよかったのに」という人もいるかもしれないが、介護うつとか、ドメスティックバイオレンスと同じで、
当事者としてど真ん中にいると近視眼的になって、他の選択肢が見えなくなってしまうことがよく起こる。
関係者が初歩的なManagement Control とかSituational Leadershipを学んでいれば、こんな悲劇にはならなかったように思える。
前途ある人々がかけがえのない命を落とすようなこの種の事件が、一刻でも早くなくなることを願わずにはいられない。