大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

BATNAが無限にある完全競争市場での交渉

先週行ったエネルギー系企業向けの交渉術トレーニングの声をレビュー中。

相手との長期的な関係を維持することを前提にしている場合には、いわゆる「Win-Win」をゴールとする協調的交渉戦術が基本となりますが、参加者の中には、原材料の国際調達などで、できるだけ早く、安く調達することを業務のKPIとしてしのぎを削る仕事をしている場合もあります。


もし代替品(BATNA)が無数に存在するコモディティの完全競争市場(いわゆるレッドオーシャン)で取引するのであれば、交渉術で解消できる部分は割と少なく、市場は「神の見えざる手」の需要-供給グラフで表される「均衡価格」に近づくのがセオリーと言えそうです。


ただし、市場の参加者間に少しでも情報の非対称性がある場合、アービトラージの機会は常に存在していることになり、BATNAなどを考慮したブルーオーシャンを目指す交渉術は機能することになります。

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3Cとブルーオーシャン

オプション取引など、テクニカルな部分の検討は各分野のエキスパートに任せ、私はファシリテーションに徹することになるのですが、「ビジネス」や「取引」という行為自体は交渉そのものなので、我々は知らず知らずのうちに、毎日交渉していることがよく分かります。

 

意外にベネッセの中学講座の「価格と需要と供給の関係」HPがシンプルに均衡価格を理解するのに便利です。

 

chu.benesse.co.jp