フォードの始めたベルトコンベアによる自動車の組み立て方式は、当時の大多数の人にとっては理解しがたかったそうだ。
なぜなら、当時の勝ちパターンは、
独占的な地位を得た後、生産を抑え、価格を上げること
だったら。これに対し、フォードは逆に考えた。
「利益を上げるためには、価格を引き下げ、生産量を増やすべきだと考えた。この大量生産方式の発明が、のちの生産方式を支えた」
- 作者: P.F.ドラッカー,P.F. Drucker,上田惇生,林正,佐々木実智男,田代正美
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1994/11/01
- メディア: 単行本
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利益=価格×量
であると考えると、
フォード前:利益↑=価格↑×量↓
フォード後:利益↑=価格↓×量↑
の違いがあった訳だ。今から考えると当たり前じゃん、と思うが、当時はパラダイムシフトだったのだろうと思う。
市場が渇望しているプロダクトなら、20〜30回に一回のホームランを狙うより、ヒットを量産するイチロー型の戦法の方が、トータルで得点率(利益)は高くなるのだ。
昨年だったか、ホクレンがチーズの生産量を意図的に減らして、チーズ不足を演出し、価格を上げている実態がドキュメンタリー番組でスクープされていたが、こういう発想は「フォード前」に近い。(それで酪農家が儲かっているのならまだ分かるが、逆に方向に進んでいるのだから、笑えない話だ。)
もちろん時代は、
大量生産から少々多品種
量から質
へと変わってきているが、
「価格を抑えて、量を追う」
という戦略は「固定費に近いITインフラをいくら使い倒すか」という勝負になっているクラウドサービスにはそのまま当てはまると思う。
人力が関わるものは「量を追うと質が低下する」のが常識だが、ITサービスは必ずしもこれに当てはまらない。むしろ、限界費用はゼロに近いので、そこからキャッシュフローが潤沢に生まれれば、その分、さらにインフラ投資が進むという好循環が生まれる。
プラットフォーマーはまさにこの公式通りに成長しているように見える。
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ちなみにヒントをいただいたのはこの本。
朝10時までに仕事は片づける―モーニング・マネジメントのすすめ
- 作者: 高井伸夫
- 出版社/メーカー: かんき出版
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限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭
- 作者: ジェレミー・リフキン,柴田裕之
- 出版社/メーカー: NHK出版
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