大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

教えるのはAI? これからの社会人教育に起こるエドテック革命(Edtech Revolution)

「シンギュラリティ」や「xTech」といったワードが、一般用語として世の中にだんだんと浸透してきました。AIやブロックチェーンといったテクノロジーが、これからの社会をエクスポネンシャル(指数関数的)なスピードで変えていくことに、もはや疑いの余地はありません。

 

例えば、価値のボラティリティが激しい仮想通貨も、あと5年もすればすっかり社会に定着し、キャシュレス化が急激に加速するはずです。(それがビットコインになるかは不明ですが。)

 

実際、日本の現金決済比率は先進国の2倍(32%)であり、ATM維持費を含めた現金決済を支える社会インフラに2兆円ものコストがかかっています。

 

thepage.jp

 

この巨大市場をフィンテック企業が見逃すはずはなく、激しい競争を通じて市場はアービトラージされ、最適化されいく動きになるはずです。

 

また現在はシナリオベースのチャットボットが徐々に普及しはじめている段階ですが、2020年中には、コンピュータの集積度が人間の脳を超え、全く違和感なくAIと人間が会話するようになると多くの研究者が予想しています。

 

そうなれば大手コンビニをはじめ、標準化が可能なサービス業は急速に無人化されるはず。これがキャシュレス化の動きと連動し、わざわざ現金で払ったり、人間が「おもてなし」をする際には、エクストラチャージを払うようになるかもしれません。

 

現在でも電子マネー「スイカ」で払えば、切符がディスカウントされたり、自動販売機で安くドリンクが買えるようになっていますが、すべてのサービスでこれから同じことが起こるのです。

 

もちろん「教育」(学習)」の世界も、テクノロジーの進化と無縁ではありません。

 

教育×テクノロジーを「EdTech(エドテック)」と呼びますが、教育の世界も様々なテクノロジーと融合し、激しく進化していきます。

  

特に「教育」は人間の全ての活動の根底にあり、全ての業界、産業につながっているため、様々な業界で一見バラバラに進化したテクノロジーが、「教育」をキーーワードにあるタイミングで一気に融合し、革命的な進化を遂げる可能性があります。

 

そして、エドテックを中心に世の中が動く時代がくるかも知れません。なぜなら、経済活動・ビジネスは、広義に捉えれば、「教育」に他ならないからであり、それが差別化の源泉だからです。

 

例えば、新人教育は文字通り「教育」ですが、上司が現場で部下を指導すること、会議での振るまい方を覚えること、社内プレゼン資料を作ること、お客さんにニュースレター(メルマガ)を発行したり、メールを打つこと、顧客調査すること、商品を開発すること、製造すること、これらは全部教育です。

 

もっといえば、自社の製品やサービスをマーケティングし、認知を広げて世の中に普及させることも教育です。

 

ただしすべての教育がICTによって置き換わるわけではありません。

 

AT車があっても、MT(マニュアル)車に趣味として乗る人は一定数います。レベル3の自動運転の時代が来ても、自分で運転し続ける人は一定数残るでしょう。同じように、教育においても、AI, VR, MRなどで80%ぐらいがITCで置き換わっても、

 

「やっぱり生身の人間に教えてもらう方がいい」

 

 

という人は一定数残ります。

 

ただし、それはあくまで”趣味”の世界です。映画「マトリックス」のワンシーンのように、脳刺激を与えることで直接学習させるような仕組みが、初期段階では成功しているので、最終的には、教室でアナログ to アナログで学習する仕組みは無くなって行くのかも知れません。

 

jp.techcrunch.com

www.ted.com

 

大学も20−30年後には、VR上で”通学”するのが当たり前になるでしょうし、教えているのも、優秀な大学教授の知識と指導法を集積したAIかも知れません。そもそも学位という概念が曖昧になるので、”大学”ではなくなるかも知れません。

 

ただ、すでにTA(助手)のレベルでは、リアリティになりつつある話なので、そんなに遠い未来の話ではないのは確かです。

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