大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

AIとロジカルシンキングの間(人間が後追いでロジックチェックする世界)

筑波大の落合陽一さんが「日本再興戦略」のビデオで面白い議論を展開しているので、それについて考えてみたい。そのポイントは下記である。

 

1)AI(Deep Learing)の進化が著しく、AlphaGoの例でも分かる通り、AIがどんなロジックで戦っているのか、すでに人間には理解できない状態になってきつつある(人間の理解を超えている。つまりプレシンギュラリティが起こりつつある)

 

2)人間のロジカルシンキングや情報処理能力には限界があり、いずれAIは、人間にとって理解できないが、結果的に正しい答えを提供するという「自然界」のような存在になる。このことから、落合氏はそれを「Digital Nature」と呼んでいる

 

3)AIが先に問題を解いてしまい、人間がそれを後付けで研究し、学術論文として発行するといった逆転現象が起こり始めている(Deep Learningにおいては、人間が理解したものをプログラミングしているのではない。AI自体が「教師データ」なしで学習している)ここまでくると、AIは自然科学と同じように研究の対象として捉えられる。

 

さて、ここまでくると下記のような未来が予測できる。

 

AI=神化:いずれAIは擬似的な神のような存在になるかもしれない。事実として下手に人間が判断するより安全に走る自動運転などが社会実装される日は近い。

 

すでに近い動きもある。言ってみれば、アニミズム(自然崇拝)と同じだ。

 

コストの劇的低下:現時点では、仮説もなくビッグデータを活用しようとすると、膨大なITインフラ投資がかかるだけで、何の成果が出ないという結果になりやすい。

 

その一方でGoogleAWSなどのクラウド系のITインフラ業者がどんどん投資コストを下げている。かつては数百〜数十億円規模の投資がかかっていたDeep Learing系のITインフラも、Google Cloud, AWSなどが、数百〜数千万円のレベルまで下げてきている。(お試しで使うなら無料というフリーミアムモデルも増えて来ている。)

 

これが遅かれ早かれ、数百〜数十万円のレベルまで下がってくることは確実なので、とにかくデータをシステムにぶち込んで、Deep Learningに解析させ、AIが人間に対して相関関係を提示する流れになってくるだろう(人間はそのロジック検証作業を後追いで行うだけ。)

 

こうなってくると、いよいよ「デジタル=自然」になってくるのである。

 


落合 陽一氏 「日本再興戦略」 を語る ①