大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

AIは画像認識で先行する(言語処理はちょっと先の世界)

AI関係でおすすめの一冊があります。

 

▼「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」
  (角川EPUB選書) 単行本  2015/3/11 松尾 豊 (著)
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著者の松尾先生は、AI系のコラムや最前線の話になると必ず出てくる
日本のトップエキスパート(東大准教授)。

 

その松尾先生が、一般大衆向けにAIとディープラーニングについて平易な文章で書かれた一冊です。

 

これまでどういう流れでAI研究が進められてきたが迷子にならずに俯瞰できます。

 

▼松尾先生の動画もYouTubeでいくつか転がっています。

SoftBank World 2016】 人工知能は人間を超えるか 松尾 豊 氏
 

www.youtube.com

この本(2015年初版)では、読むも涙のAI研究者不遇の時代から

現在の「第3次AIブーム」がいかに、これまでの違うかがわかりやすく解説されています。

 

その最も大きい技術的ブレークスルーが「Deep Learning(深層学習)」です。

 

ものすごーくシンプルに「深層学習」を説明します。
(ちゃんと知りたい方はぜひ本を読んでくださいネ。汗)

 

いままでは、まず人間が対象物の「概念」をプログラミングして、その判定をするための特徴をコンピューターに教えることで、はじめて対象を認識させようとしていました。ところが、今回のAIブームの中心にある「Deep Learning」がすごいのは

AIが

 

「特徴表現学習(Representing Feature Learning)」」

 

というのをコンピューターが自動的にやるようになったということです。

 

例えば、

 

AIに「ねこ(CAT)」を学習させるには、
”ねこ”と呼ばれる存在を形成する特徴を
事前に(人間が)プログラミングする必要があったのですが、

現在は、AIに大量のネコの写真を読み込ませると、
だんだんと「ネコ」の特徴を勝手に学習し、
そのレイヤー(層)を何層にも重ねながら
猫を構成するコンセプト自体をAIが「自動的に」
作り上げていくということです。

 

で、それができてしまうと、
人間でもすぐには識別できないような猫っぽいヒョウの写真とか、森に隠れて見えにくい猫の写真なんかを一瞬で判読できるようになります。

 

人間の誤答率は5%前後の画像認識問題で、すでにAI認識は3ー4%を達成しています。

 

そしてこの画像認識&AIをベースに、
碁の世界チャンピオンを倒した「ALPHAGO」や、
将棋の名人を制した「ポナンザ」などのAIが作られています。

さらにこれらの技術の活用に期待されているのが、医療の分野。

 

japanese.engadget.com


先日、小林麻央さんがガンで逝去された悲しいニュースが流れましたが、
レントゲンやCT,MTRの画像処理などはまさにAIの活用が期待される
分野です。

 

多忙を極めるなか一人の名医が一生懸命診察してもやはりミスは起こってしまう。
ただ医療現場だとそれが致命的になってしまうのです。

 

そんな医者の寄り添うAIが登場すれば、医療の世界は大きく変わるのではないかと思います。


もともと「ワソトン」も、ホームズ探偵の名アシスタントというイメージで命名されているそうですから、あらゆる分野でプロの名アシスタントとして業務を助けてほしいものです。

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私は、ネット上のディスカッション(音声認識ができるようになれば
リアルのディスカッションをもちろん含む)のファシリテーション等に、
AIが生かせるのではないかと思ってこの分野に興味を持っているのですが、

 

自然言語処理NLP=Natural Language Processing)」

 

が実用レベルに動くようになる世界は、もう4、5年先のようです。
(といっても4、5年ですが!)

 

またマネジメントの世界では、以前と全く同じ状況が何度も
起こることはありえないため、AIに経営判断をさせられる
世界はまだ当分やって来ないと言われています。

 

ただ中間管理職的な仕事は、結構標準化できる業務内容も
多いので、ここにはAIがどんどん入り込んでくるはずです。

 

いずれにしろ、稟議書にハンコを押してるだけのような仕事が
なくなっていくのは間違いありません。