大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

医者が自分の診断を仮説検証できる仕組み

医者の診断にしたがって薬を処方してもらい、2−3日その薬を飲んで治らない場合、患者は同じ医者に行く事もあるが、その医者の診断能力を疑い、セカンドオピニオンを聞くのもかねて他の医者にいくことがある。

その場合、最初のお医者さんは自分の診断が正しかった(その結果、患者が完治した)のか、他に行ったのかは分からない。

つまり医者は診断による「仮説」を検証できない

もちろん、ヤブ医者である場合、中長期的に患者が減るので自然に分かるが、やる気のある若手の開業医なんかには、自分で仮説検証の学習サイクルがうまくまわす方法がない。これは実にもったいない。

特に高齢化で医師不足が予想されている日本ではなおさらだ。

そこで例えば、患者に対してフォローメールを送り

「①治りました」(何日ぐらいで)

「②他の病院で違う診断をされた(その結果完治)」

などを聞くシステムってできないのだろうか。そうすればどんな医者でも学習サイクルを効率的に回す事ができる。

もちろん患者は気を使って②を選びにくい可能性があるけど、第3者機関が入って匿名処理をするなど、システムの組み方でなんとでもカバーできる。

さらに、それをクラウドでシェアできるようになれば、医師同士が学べるコミュニティができるし、人工知能やロボットを介した人に優しい遠隔医療/診断も可能になる。


医療×TECHの分野で「Medley(メドレー)」という面白い企業が出てきている。この会社のサービスを使って、患者と医者の医療情報に対する非対称性が少なくなれば、患者は医者にかかるまえに、正しい仮説を立てやすくなる

http://thebridge.jp/2015/02/medley

もちろん非対称性が解消すれば、誤った見立て(診断)をすると患者につっこまれる可能性も増える訳で、それなりに緊張感も増すに違いない。また、上記で考えたような患者と医者の間でPDCAサイクルを回すのも可能になるし、そもそも診察時間の効率化にもつながる。

ぜひこういう会社がどんどん出てきて医療イノベーションを起こして欲しい。


ネット上にある医療情報について信憑性が分からなくてユーザーが困っている情報を解消したい、というニーズの捉え方は、各分野のエキスパートがガイドしてくれる生活総合情報サイト「All About」の創業コンセプトと共通点がありそうです。