大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

TOCで戦略的な自由度を拡げる

先週「ザ・ゴール コミック版」の発売を記念したTOC(制約理論)セミナーに参加してきましたが、マツダデルタ航空の発表を聞きながら、慶応大学ビジネススクールの清水先生の著書「戦略と実行」が頭に浮かびました。


ザ・ゴール コミック版ザ・ゴール コミック版
(2014/12/05)
エリヤフ・ゴールドラット/ジェフ・コックス

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戦略と実行戦略と実行
(2011/03/24)
清水 勝彦

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経営を「戦略」と「実行」に分けると、清水先生は

「戦略のコモディティ化が進んでいる」

と言っています。確かに依然と比べると有名コンサルやMBAフレームワークはいくらでも転がっており、それなりの人材を抱えている企業では、社内で高度な戦略を作れるようになっています。なので、そこで差別化はしにくくなっている。

むしろ差が出るのは「実行」です。清水先生は戦略(=トップ)、実行(=労働者)と区分けしてしまう誤解があることを指摘し、戦略実行の本質は

「戦略の後工程ではなく、戦略の仮説を展開すると同時に、戦略立案段階で明確にできなかったこと、予想できなかったこと、間違っていたことをその実際の行動の中で知り、フィードバックを通じて戦略を練り上げるプロセス」

とおっっしゃっていますが、まさにその通り。

マツダスカイアクティブの成功事例は、まさに実行フェーズをTOCで磨きをかけることで、戦略的な選択肢(自由度)を作った訳で、戦略ありきではなかった点が非常に面白いなと思いました。

アマゾンだって、もともとのアイデア(戦略)自体は実に単純で、オペレーショナルエクセレンスを追求した先に、戦略の選択肢を拡げたという意味では似てますね。