メールになると急に攻撃的になったり、運転すると急に凶暴になったりする人がいますが、このような現象を証明する「ミルグラム実験」という有名な心理実験があります。
これを端的に言えば、多くの人は「対象(相手)」との心理的距離が遠いと、結構ひどい事でも平気でやってしまうのです。
でもって、組織が大きくなるときも、現場以外の人は必然的に顧客との心理的距離が遠くなるので「組織の論理」の方が強くなりがちです。したがって、良い会社はそれをうまく防ぐ技を持っているってことなんですね。
具体的には、
(1)組織内のユニットを小さくして顧客との心理的距離を近くに保つ
(2)経営トップが顧客視点を保ち、組織に常に浸透させる
というやり方が代表的。他にもあるかも知れません。
ちなみにeラーニングでも同じで、匿名性が高くなりすぎると”アラシ”によって炎上する事があります。ただ匿名性が低すぎると、いろいろな人が入ってきて自由な議論できるという良さが阻害されることもあります。したがって、安全なディスカッション環境を担保するために、このあたりのどうコントロールするかがポイントになります。
「コミュニケーションがなくなった場合の人間の攻撃性増大については、(先の)ミルグラムの権威服従行動実験で調査されている。この実験では、(電気ショックの)スイッチを押すときの状況を様々に変化させて調査を進めている。先ほどのように、
①目の前で暴れている生徒役が見える状況、
②生徒役が隣の部屋にいて、暴れている声だけが聞こえる状況、
③別の部屋にいて顔も見えず、声も聞こえない状況、の三つである。
この三つの状況に分けて実験を行うと、①から③になるに従って、最後までスイッチを押す人が極端に増えてくる。①では30%だったのが、③の顔も見えない、声も聞こえないとなると、65%の人が最後まで押しているのである。」(川上真史「リーダーが「リーダー」ではなくなる日」)
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