大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

年収1億円 or 100万円の世界(世界同一賃金のユニクロとグローバル化)

最近やたらユニクロが叩かれていますが、労働環境の改善問題と、『世界同一賃金』(年収1億円か100万円)というグローバル化の問題は全く別次元の話で、別に議論すべきものです。

昔、ニューヨークで就活したときに、同じ日本企業でも国内採用と現地(アメリカ)採用だったら、国内採用の方が給料が高いという話を聞いて閉口したことがあります。

グローバル化を目指す同社が、海外で優秀な人材を一人でも多く確保しようと思ったら、みんな同じレベルで切磋琢磨する「世界同一賃金」は避けられないでしょう。

新興国にも欧米でMBAや博士号を取得したり、プロとして活躍する人材がたくさんいます。日本人であるというだけで得をするかつてのような「日本プレミアム」はもうありません。

私がカンボジア人で、ユニクロが母国に進出してきたとします。日本から派遣されてきた英語も片言な普通のマネージャーと、業界経験豊富で現地スタッフを実質的に取り仕切る私を比べ、日本人の方が無条件に給料が高かったら、モチベーションを徐々に失うでしょう。そしてそういう人をうまく引きつけ、活用したライバル会社が勝ち残ることになるはずです。

あなたの勤務先がドイツ企業に買収されたとして、自分と同じポジションのドイツ人のほうが、無条件に給料を1.5倍もらっていたら、「しょうがないな」と納得できるでしょうか?

マッキンゼーのような会社は「世界同一賃金」を何十年も前から採用していますが、このようなポシリーをとっているグローバル企業は少なくないでしょう。

柳井氏はあえて物議をかもすような発言をメディアで行っていますが、同じようなことをしている会社はゴマンとあります。ここは冷静な議論が必要です。

下記の記事は参考になります。

ユニクロ叩き」にモノ申すユニクロは、ブラック企業ではなくグローバル企業?(東洋経済

http://toyokeizai.net/articles/-/13322