大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

フィーリングを重視した採用活動

企業の採用活動における面接とは、言って見ればお見合いです。うまく行けばお互いハッピーですし、そうでなければお互いに取って不幸です。

「安定」を求める人が、「挑戦」を重視する会社に入っても結局うまく行きませんし、逆も然りです。

学歴や容姿だけで結婚相手を選ぶ人はほとんどいないのと同じで、本来は面接とは、対等な立場でお互いの価値観が合うかどうかをチェックする場です。ところが実際の採用面接では、相手に気に入られるようなキャラを無理に演じる人も多いのも事実です。(私も昔は近い事をやっていましたが。)

採用担当はあの手この手でそれを見抜こうとしますが、就活生(転職者)はマニュアルなどを読みながら対策を立てますので、それを短期間で見抜くのは至難の業です。

その点、インターン制度や試用期間を設けることはお互いに取ってメリットがあります。しばらくの間、一緒の職場で働いてみると、その人のキャラクターが自然にわかりますし、本人も、自分がその会社に合うかどうかが直感的に分かるからです。

僕自身も、憧れの会社でインターンしてみて、入社を見直した事がありますが、人生をムダにしないためにも、こういうプロセスは重要なのです。

人間の直観が案外正しい事は、最近になっていろいろな心理実験で証明されつつあります。私も数百名の履歴書を見ながら採用面接をする経験を何度かしましたが、何となくいいと思った人は、数年つきあってもやっぱり印象は変わらない事がほとんどでした。

もちろん、経歴やスキルが不要だと言っている訳ではないのですが、それだけではあまりに不十分なのです。

ただし直観はあくまでフワッとした感覚的なので、立派な経歴を見せられると気持ちはゆらぎます。ただし「なんだか違和感があるな」と思った人は、やっぱり合わない人が多かったのも事実です。その人がいい、悪い、優秀だ、優秀ではない、という問題ではなく、一緒に働くメンバーとして、お互いにフィーリング(相性)が合うかどうかが重要なのです。

昔、上司が「早く採用しろ」「フィーリングなんか関係ない」とあまりにせき立てるので、しぶしぶ経歴ベースで採用した結果、散々だったことがあります。(これは、いろいろな意味で良い勉強になりました。)

やはり、同じ価値観を同僚とも共有できるのであれば楽しいし、モチベーションが上がります。またその人が退職したとしても、良い関係が続きます。その意味で、組織を作る上で最初のゲートである採用は、重要な「環境コントロール」活動なのです。