大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

落第生の問題(経営理念と評価軸をアラインメント)

昔から良くある話ですが、日本の大学では落第生が多いと補助金がカットされるため、ダメな学生でも、パスさせるケースが結構あります。(*日本語が怪しい留学生も含む)。でも本来の主旨が「高度な資質を備えた人材の輩出」であるとするなら、「落第させない」(在学生が多すぎる)という評価軸に再考の余地があります。

この評価軸の設定はマネジメントコントロールでは「環境コントロール」に当たります。

▼「落第数」以外の評価軸の代替案を考えると

ノーベル賞をふくめ、各研究分野での表彰/業績

・語学力の向上

・リクルーター評価

などが考えられます。大学によって、輩出したい人材像は違うはずなので評価軸は大きく違って当然ですし、ユニークな評価軸を作ること自体が、差別化につながります。

「本来の目的(企業で言えば経営理念)」→「評価軸」

一気通貫でつながっている必要があります。これがズレていると、一般的に組織は「評価軸」の方に徐々に引っ張られます。そして組織内のメンバーがこの矛盾に一人で抵抗しようとすると、ストレスを抱えたり、精神に障害をきたす事さえあります。

したがって、本来はこのズレを、組織マネジメント側が修正(アラインメント)する必要があります。

もし一校だけで「ウチは簡単に卒業させないぞ!」と頑張って「あそこの大学は簡単に卒業させてくれない」という噂になると、入学生が減るリスクがありますし、志ある先生がひとりで頑張っても、学生に嫌われるリスクがありますよね。(もちろん学校によってはブランド価値が上がる可能性もあります。)

どちらにしても、一般の大学が一歩抜け出るには、秋田国際教養大学のように極めて強い個性を出し、それにしたがってマネジメントコントロールシステムを再設計するしかありません。