大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

商談に使える「よい警官/悪い警官」戦法

交渉術の典型的な手法に「Good Cop/Bad Cop」(いい警官/悪い警官)がある。

犯人を尋問するとき、悪い警官が「吐んかい!」と脅し、彼がちょっと席を外したスキに、よい警官が

「あいつを怒らすと怖いぞ。悪いようにはしないからオレの言う通りにしてくれないか」

と説得するのだ。古いところでは”落としの山さん”がこのよい警官に当たる。もちろん悪い警官もよい警官も、基本的には演技なのはいうまでもない。

この手法は、商談の場でもよく使われるし、有効だ。

たとえば、相手が無理な条件を要求して来たときに、

「そのご要望にお応えしたいのですが、この条件ですと上司(会社)がウンと言ってくれそうにありません。一緒にどう説得したらいいか、考えてもらえませんか」

という具合に、自分は「よい警官」で、組織を「悪い警官」に見立てるのである。こうする事で、お客さんと営業マンは、組織という共通の敵を説得するために問題解決を一緒にするパートナーになることができる。その結果、相手の本当の欲求を見極めたり、譲歩を引き出したりしやすい。。

さらに、もし破談になったにしても、あくまで営業マンはお客さんの味方だったというスタンスとなるので、関係が継続しやすい。

ただ、下手に使うと「決定権のある責任者と話がしたい」といわれてしまうリスクもあるので要注意。

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昔、営業職だった私の知人が起業して1人会社を作った。その途端、営業先でこの「いい警官/悪い警官」戦法が使えなくなって困っていたのを思い出す。