大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

経営

「自由に発言してよい」は建前?ミーティングに見えるグローバルマネージャーの条件

会社のグローバル化について考える際に大変参考になる資料として、「ミーズ日本支社の日本人」という面白いビジネスケース*があります。 (*ビジネススクールで使われる実話に基づくミニストーリーや議論用教材。) 慶應大で作られたこのケースには、米系多…

マネジメント・コントロール【書評】実行力を科学する

慶應義塾大学で教鞭をとられている横田絵理教授と、監査法人に勤務されている金子晋也氏の共著です。 マネジメント・コントロール -- 8つのケースから考える人と企業経営の方向性(2014/03/14)横田 絵理、金子 晋也 他 「慶應」で「マネジメントコントロール(…

自動車自動運転とモラルの問題

自動車を運転していて、正面の歩行者1人をはねとばして殺しそうになったとき、そのまま直進して殺すか、自動でハンドルを路地に切って歩行者を殺すリスクを取るか、路地に2人以上いたら、功利主義から正面の1人を轢くか、(それとも自動自爆装置みたいな…

新たなプラットフォームとしての「ロボット」

ソフトバンクが感情を理解する(?)ヒューマノイド型ロボット 「ペッパー(Pepper)」(価格は19.8万円) を発表しました。 http://www.softbank.jp/robot/special/shiratoke/ iPhoneアプリのように一般の人でもペッパー用のアプリを開発する事が可能になるの…

国会事故調の報告書をもう一度議論しよう

国会事故調(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)の最終レポートは、原発事故の原因が、組織マネジメントに起因する 「明らかな人災」 であったと明記しています。 事故を巡っては、東電や政府、民間の事故調も発足しましたが、 ・委員の専門性 (弁護…

10日でやめた新人の話

ヨドバシカメラの人事の方が興味深いコラムを書かれています。 ▼新入社員が退職した。(前編)from リクナビ http://job.rikunabi.com/2015/company/blog/detail/r571700004/26/ 10日で退社した新入社員の話なのですが、私はこの人事担当者の方に大変共感し…

社会貢献と商売の間:コーズリレイテッドマーケティング

先日、二子玉川駅近くにある 「日本理化学工業」さんにお邪魔してきました。 EQパートナーズさんのコーディネートで、海外MBAの学生さん一行が同社を訪問する際のお手伝い(通訳)をしたのですが、これは本当に貴重な体験でした。 日本理化学工業が、広く世…

日本人が教室で質問しない訳

先週、ある外国人講師が面白いことを言っていました。 「外国人でも日本文化を少しでも知っている人は、学会等で日本人教授にあまり質問しなくなる」 よく 「外国人はセミナーや研修の最中にどんどん質問するが、日本人はあまり手を上げて積極的に質問しない…

アドバイスを聞くべき相手は誰か

ロバート・キヨサキ氏のベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」のコラムに面白い話が出てきます。 改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)(2013/11/08)ロバート キヨサキ商品詳細を見る 「私はいつも驚くのだが…

アジアの風を感じる(バンコク)

3月26日から約5日間、タイ(首都バンコク)に行ってきました。 日本だとニュースバリューの関係で、どうしても反タクシン派がデモのような映像ばかりが紹介されるタイですが、現地はいたって平和で、いたるところで経済発展のエネルギーを感じました。 …

師匠への最大の恩返しは師匠を超えること

先週、TOC(制約理論)の集中研修(TOC for Ever Flourishing)にて、「ザ・ゴール」著者のゴールドラット博士が生前に「後継者」について語ったビデオを見せてもらったのですが、かなりしびれました。 そのメッセージを要約すると 「ユダヤには”師匠への最大…

カリスマの実像を知る意味(脱「神格化」の学び方)

稲盛さんが事業計画の書き方についてビジネススクールの学生に聞かれた時に、下記のように語ったというエピソードがあります。 「君は起業したいのだろう? なぜ事業計画書という嘘の作文を勉強しているのだ? 私でさえ見えるのは3カ月先ぐらいで、1年後を予…

リアル書店のアマゾンへの対抗策を考える

先日新宿の本屋を訪れて思ったこと。 紀伊国屋やブックファーストはポイントカードを発行しており、カードを登録するときに自宅住所を登録している。 したがって書店で決済するときに、そのカードを見せれば、2000円以上だったら無料(もしくは100円…

半沢直樹から学ぶ組織論(ピーターの法則を回避する方法)

ドラマ「半沢直樹」を毎週見ながら、どうして組織が成長と反比例してダメになってしまうのか、そしてどうやれば立て直せるかを考えています。 多くの組織では、成長の段階において、地位や利権を守るために一部の人々が利己的な動きをするようになり、必然的…

有線放送の映像版にビジネスチャンスあり

お好み焼き屋の「ぼてじゅう」錦糸町店に行ったら、壁にスクリーンが埋め込んであり、火がチロチロと燃えている映像がずーっと表示されていました。 なかなか良い雰囲気を醸し出していたのですが、これを見てノルウェーの公共放送が、暖炉で火が燃えているだ…

メールになると凶暴化する人がいるのはなぜか?

メールになると急に攻撃的になったり、運転すると急に凶暴になったりする人がいますが、このような現象を証明する「ミルグラム実験」という有名な心理実験があります。 これを端的に言えば、多くの人は「対象(相手)」との心理的距離が遠いと、結構ひどい事…

宗教改革とグレイナーの組織発展論が似ているところ

以前に「大統領選とキリスト教」というコラムで、16世紀にヨーロッパで起こった宗教改革について書きました。 当時、宗教改革の中心人物であったルターは贖宥状(免罪符)批判を巡って、 「なんか最近の教会っておかしいよね。もう一度聖書に戻って、本当…

東京チカラメシ包囲網と次の一手

「東京チカラメシ」の勢いにやや陰りが出てきたという記事を見ました。 「東京チカラめしへの逆風 出店ペース鈍化、大幅減益…御三家の包囲網でブームに陰り?」(Business Journal 2013/6/15 07:40) 同社のHPで財務状況を見てみると、今年度に入ってからや…

ニワトリ会議とマネジメントコントロール

ホンダイズムの原点であるHONDA創業者の本田宗一郎さんをモデルにした「ニワトリを殺すな」という本があります。この本に「ニワトリ会議」の話が出てきます。 ニワトリは群れの中に血を出しているニワトリがいると、みんなでよってたかってつついて殺してし…

経営センスの論理:カリスマの周りにいる武将と家来

一橋大学の楠木先生が、「経営センスの論理」を発刊されました。それに関連する日経インタビュー「センスのない人がトップに立った会社は悲惨」で下記のように語られています。 (引用)「昔のかばん持ちや書生という仕組みは、優れた経営者の裏に潜む論理を…

エアアジアジャパンには何が足りないか

「ANAHDとエアアジア LCC合弁解消へ調整 」(産経 2013.6.11 07:00)というニュースが流れました。 世界的にLCC化の流れにある中で何が失敗しているのでしょうか。 実際にエアアジアジャパンのホームページをのぞいてみると、国内線と国際線がごちゃ…

年収1億円 or 100万円の世界(世界同一賃金のユニクロとグローバル化)

最近やたらユニクロが叩かれていますが、労働環境の改善問題と、『世界同一賃金』(年収1億円か100万円)というグローバル化の問題は全く別次元の話で、別に議論すべきものです。 昔、ニューヨークで就活したときに、同じ日本企業でも国内採用と現地(ア…

ギャップ理論(期待と現実の落差が魅力を生み出す)

一見、逆の性質を持ったものが融合すると、不思議な魅力を醸し出すことを私は「ギャップ理論」と呼んでいます。たとえば・・・ ・安いのに高品質(ユニクロ) ・安いのにうまい(サイゼリアなど) ・かっこいいのに下ネタも好き(福山雅治/桑田佳祐/桜井和…

抽象化と具体化の「概念化スキル」を鍛える

マイクロソフトジャパン元社長の成毛眞さんが「HONZ」というお勧め本を紹介するサービスを運営されている。(その延長線で面白い本 (岩波新書)」というまさに面白そうな新刊を出されています) その成毛さんの記事を見て面白いな、と思ったのは、 ”ビジネス…

問題解決思考:学校の週6日制は、学力向上につながるのか

文科省が公立学校の「週6日制」を検討しているようです。 脱ゆとりで、学力をアップさせる目的なのだそうですが、本当にこの政策が正しいのか疑問が残ります。 PISAテストでは、ある程度「勉強時間」と「学力」の相関性があることが分かっているようですが…

同調圧力から抜け出す

プロバスケットボール選手のマジック・ジョンソンの言葉をご紹介します。 同質性の高い人々の集団にいると、そこから抜け出すのに苦労します。それには、「本人自身」の問題と、「周り」の問題があります。大体の場合、そこから抜け出す際には、周りの人から…

ふるさと納税

どうも各方面の圧力があるらしく、なかなか盛り上がらない「ふるさと納税」制度。 私は岡山県に納税していますが、「県」ではなく、市町村にふるさと納税すると、特産品がもらえたり、地方の美術館の割引チケットがもらえたりと、結構お得な場合が多くありま…

前提を疑う事からイノベーションが生まれる

2011年の年末に「プロフェッショナルを演じる仕事術」(PHP)を上梓してから1年と少し。 この本は、私自身がいろいろな人から教えてもらった「学び方の方法」を、多くの人とシェアしたいという思いから執筆しました。 この本を貫いているテーマは 「…

ミッドウェイ海戦

NHK BSで「ミッドウェイ海戦 敗北が語る日本の弱点」という番組を拝聴。 有名な話ですが、日本海軍はミッドウェイ島を攻める前に「図上演習」(いわゆるシュミレーション)をやっていました。しかしその演習では日本軍は敗北するという結果になってしまった…

経営学のフロンティア

「世界の経営学者はいま何を考えているのか」という一冊を読了。 著者はNY州立大の先生で、 「アメリカの経営学者はドラッカーを読まない」 「ハーバードビジネスレビューは学術誌ではない」 など、割とセンセーショナルな感じで始まります。 アメリカの経営…