大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

オンライン授業で明らかになったバラ売りとして見たときの大学授業の価値

昨晩ニュースを見ていたら、大学のオンライン授業に満足できなくて、休学届を出す学生をドキュメントしていました。(今後、退学も増える傾向)

 

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大学は、勉強以外にもソーシャル活動などの提供価値があるので、それを期待していた学生から言えば、思ったような満足度が得られないのは当たり前です。


ましてや、海外ではすでに進んでいたオンライン化の流れに関心がなく、リアル授業にこだわってきた教員にいきなりオンライン授業をやってもらっても、いきなりクオリティは上がりません。

 

したがって満足度が下がるのは避けられないでしょう。

 

youtu.be

 

またオンライン化により、ある意味、大学という傘の下で「セット価格」で払われていた学費が、動画になった途端、

 

この1時間のネット授業は単価で「5000円」

 

といったことが明らかになり、社会人向けの一般セミナーなどと簡単に比べられるようになりました。

 

さらに親も、子どもの横でその授業動画を見られるようになりました。

 

そんな状況で、まだまだネット慣れていない先生が、ボソボソとZOOMで語っている授業がバラ売りで5000円だと思えば、その価値に疑問を持つ人が多くなるのは当然と言えます。

 

逆説的には、今回のコロナ をきっかけに、これまでブラックボックスだった授業が見える化され、そこに競争が持ち込まれ、品質改善される方向に行けば良いと思います。

 

flowone.hatenablog.com

 

経験則的にいうと、リアルでの授業の面白さを1とすると、そのままオンラインにすると0.6ぐらいになるので、授業自体を1.5倍ぐらいに面白くする工夫をしないと成り立たちません。

 

映像の撮り方や、明るく喋るとか、冗談を言うとか、そういうことで改善できることもありますが、根本的には授業のアーキテクチャにアップデートが必要になります。


つまり新しい時代への過渡期なのですが、こういう時に、質の悪いオンライン授業が増えてしまうと、どうしても「オンライン授業=質が低い」という固定観念ができてしまう。)


ただ、そういう時期があっても、デジタル活用の大きな時代の方向性は変わりません。

 

また驚くほどうまいオンライン授業をやる先生から積極的に学ぼうという流れもできつつあります。

 

パンデミックは歴史的にGameChangerを生んできました。

 

ペストがそれを防げなかった中世教会から権威を奪い、大学、そしてサイエンスへ権力をシフトさせたたように、今回のコロナも、時代の先を読んだGameChangerを生むんだろうと思います。

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「できない理由を言うな」ではなく、できない理由をブレークスルーに活用する

何か新しいことをやろうとすると「それは無理だ」「難しい」「時期尚早だ」「リスクがあるのでは」と、(骨髄反射的に)すぐに反対する人っていませんか?

 

そんなとき、どんなリアクションをすれば良いのでしょうか?

 

筆者はネガティヴ思考の人が大嫌いなので、

 

1)無視する
2)どうしても必要なら説得(論破)する

 

というチョイスをしてきました。実際、反対する人に「なぜ反対するのか?」と理由を聞いても、意味のある答え(言い訳)が出てくることはほとんどありません。大概は下記のような会話になります。

 

私「何が難しいんでしょうか?」
相手「それは、まあいろいろと」
私「具体的には何ですか?一つ例をあげてください」
相手「それが言うのが難しいんだよ。いろいろあってね」
私「いろいろって何ですか?」
相手「うるさいな!お前とは話したくない」

 

このような不毛な会話になるのが関の山です。(当然関係は悪くなります)

同じように、イノベーションの必要性が叫ばれる時代に、社員から出てくる

 

「できない理由」

 

に頭を痛めているマネージャーや経営者は少なくありません。それもあってか、こんな商品も売られています。

 ただ、この額をオフィスに飾る効果は未知数です。。。。

では、具体的にどうすればいいのか?

 

下記に「できない理由」をいう人を強い味方にするための2つの番組があります。まず1つ目はこちら。

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いわゆる「なぜなぜ分析」を人間関係に使ってはいけない理由がよくわかる番組です。

でも、言ってしまいがちですよね。「なぜ」って。でも、それは禁句なんです。

 

次にこの番組。

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詳しくは番組をご覧いただければと思いますが、実は「できない理由」をうまく活用することで、成功確率を上げることが可能になります。

 

番組で語られている「フルキット(Full Kit)」という言葉は、もともと軍事用語で、戦場に行く前の完全装備を意味し「Full-kitted」といったように英語では一般動詞として普通に使われます。

 

いったん戦場に入った後で「銃が壊れていた」「防弾チョッキに欠陥があった「無線が使えない」といってももう手遅れ。準備不足=命に関わるので、まさに命がけで”万全の準備”を行います。

 

だからこそ「心配事」「できない理由」「ネガティヴ思考」など、リスクを潰し生存確率を高めるプロセスがフルキットの中に組み込まれているという訳です。

 

例えば「できない理由を言うな!」「気合が足りない」と檄を飛ばし、現場の声を一切聞かずに戦場に突撃させる士官が率いる部隊と、

現場をよく知る隊員の懸念を十分に汲み取り、それらを徹底的に潰し、勝てるための入念なフルキットを行った上で、戦場に行く士官が率いる部隊がいたら、どちらが生存確率が高いかは容易に想像できます。

 

もちろん「知らないこと」「初めてのこと」をやる際には、漠然としたリスクを感じたり、怖いと思うのは当たり前です。また、やったことがなければフルキットの要件すら分からないかもしれません。

 

そんな時は、POC(Proof of Concept/実証実験) によって、もやもやしたリスクを言語化したり、そのリスクをフルキットで解消するプロセス等も必要になりますが、いづれにしても「できない理由」が出てきた時に

  

「言い訳」

 

と切り捨てる前に、一息ついてこの動画を思い出していただくと、思わぬ落とし穴を回避できるヒントがあるかも知れません。

 

ちなみに、TOC(制約理論)はアメリカ空軍(US AirForce)の装備メンテナンスや日本の航空自衛隊の”フルキット”でも実際に活用されています。

 

下記でUS AirForceのブッシュ中将(Lt General)がその適用状況についてプレゼンされている動画が公開されていますので、ご興味がある方はどうぞ。

 

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生死を分ける現場で使われている「フルキット」。ビジネスでも使えない訳がありません。

 

*このコラムは、こちらにも寄稿しています。

note.com

テレワークプラン比較(カラオケ&ホテル)

最近、シェアオフィスの会議室が混んできて予約ができない日があり、丸一日ZOOMでの打ち合わせみたいな日も増えてきたので、いろいろな業態のテレワークプランを試してみることに。

 

まず試したのがカラオケ屋。「ビッグエコー」と「カラオケ館」にテレワークプランがある。両方とも同じような価格帯で、午後いっぱい使って980円。

 

内容的には各部屋のカラオケマシンが使えなくなっていて、コンセント、WIFIが使用でき、ドリンクバーがついてくる。

 

 

今回は「カラオケ館」を使ってみたが、WIFIは30-40MB/bpsで安定しており、スピード的には申し分ない。防音もOK。ただ全体的に部屋が暗いので、ZOOMで映った時に、こちらの画像が暗くなるのがマイナス。ミニ照明を持っていけば解決できそう。ただ、カラオケがあるので、歌いたくなるという誘惑がある。

 

もう一つはホテル系のテレワークプラン。ちょうど車内広告で、JR東日本系の「ホテルメッツ」が安いプランをやっていたのでトライ。

 

こちらは丸一日で4500円、午後いっぱいで3200円ほど。

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なんと言ってもいいのは、個室なので集中できる。仕事環境的には申し分ないのだけど、難点はWIFIのスピード。5MB〜12MBあたりを揺れており、遅くなるとZOOM画面に「ネットが不安定です」と表示され、音がぶつぶつ切れたり、共有画面が真っ黒になったりする。

(部屋のベットなどは使えず、トイレはロビーのものを使う)

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 ビデオ会議にオブサーブ参加しているだけだったら問題ないけど、プレゼンをしたりする場合は致命的。そこで、購入したのが昔懐かし(?)の有線LAN。

 

ビックカメラに行き、USB-C用のLANアダプター(2000円)を購入。

 つなげてみたら、80MB/bpsが安定的につながることが確認できた。

 

ただもう一点何点があって、お昼0:00にメンテナンスのために、ホテルのネットが一旦落ちるという謎のルール。これだと12:00を超えて、会議が続いていると一旦切れてZOOMへの再ログインが必要になる。

 

あー、惜しい。ホテルのフロントの人にはリクエストを伝えておいたが、すぐに改善されるかは怪しい。

 

調べてみると、アパホテルもほぼ同じ値段でテレワークプランをやっているので、今度はこちらも試してみようと思う。

www.apahotel.com

以上、現場からレポートでした。

つまらないオンライン授業映像の作り方?

出口の見えないコロナの時代に、企業研修やコンサルの世界もどんどんオンライン化が進んでおり、ご多分にもれず、私の会社も大きな影響を受けています。

 

ただ10年以上、オンラインで大学院プログラム(MBA)を運営した経験からリアルとオンラインには、本質的な差がない、むしろオンラインにこそアドバンテージがあると思っている私としては、いまが千載一遇のチャンスだと思っています。

 

ただ、オンラインで授業を作る時には、いくつもの落とし穴があって、その代表的なものが

 

「つまらない映像」

 

を作ってしまうこと。

 

突貫工事でつくられた「オンライン授業」を見ていると、わざとつまらなくしているんじゃないか、と思うような眠たいものがたくさんあります。

 

当然YouTube慣れしている中高生は学校の先生のしょぼい動画は倍速で見るか、スキップするかの2択です。

 

では、いったいどんな授業動画を作ればいいのか?

 

最近、動画作成のコンサルをしていて、かなり気合を入れて作った映像がこちらです。

 

■「新型コロナウィルスにまつわる様々な問題を引き起こしているたった一つのコアのジレンマとは?」

 

映像版

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書き起こし版

note.com

 

もともとはZOOMで行ったオンラインワークショップの映像ですが、カメラの切り替え、参加者モニターの配置、オンライン付箋(ポストイット)の使用など、お金をかけなくても、オンラインで使えるツールを駆使して行えば、かなり面白い映像が作れることがわかっていただけるはずです。


つまらない動画を作ってしまう訳

いきなりですが、少し学生時代を思い出してみてください。どんな授業が記憶に残っているでしょうか?

授業内容そのもの? それとも別のものでしょうか?

 

実はEラーニングを設計する上で、これはとっても大切な問いかけです。

 

多くの人の記憶に鮮明に残っているのは、授業に関連して(もしくは脱線して)先生が話してくれた個人的なエピソードや人生論、授業中に起こったハプニングなどではなかったでしょうか?

 

もちろん、授業内容自体がしびれるほど面白かった先生もいたかも知れません。

でもその理由は、

 

「先生の授業スタイルがユニークだった」
「話を聞きながら映像が頭に浮かんだ(ストーリーテリングがうまかった)」

 

といった理由ではないでしょうか?

 

Eラーニングの黎明期(2000年初頭)には、いろいろな機関がこぞって
映像教材を作りました。当時のネット回線は、まだそれほど速くなかったのでDVDやビデオ、CD-ROMが主流でしたが、そのEラーニング用の映像教材を作る上で、多くの関係者が勘違いしていた事があります。

 

それは

 

「講義映像には、授業のエッセンスのみが凝縮されているべきだ」

 

という誤った考え方です。

 

集合で行われるリアル授業に比べて、映像は編集が自由です。そこで授業内容に直接関係ないエピソード(余談)の部分は、全部カットしてしまい、授業内容そのものだけの映像を作れば、効率によい映像教材ができるだろうと考えたのです。

 

しかし、話はそれほど簡単ではありませんでした。

 

編集でエッセンスだけを集めた映像は、確かに効率的なのですが、肉汁が抜けてパサパサになってしまったステーキみたいに、ぜんぜん美味しくない(面白くない)のです。

 

初期のEラーニングや映像授業(一部は現在でも!)は、このあたりがあまり意識されていないために、見ていると

 

「つまらない」→「眠たくなる」→「修了率が下がる」

 

という流れになってしまっているものが多数あるのです。

 

▼続きは

www.f-pad.com

新型コロナウイルス終息までの戦略 

先週WeelyOchiaiでコロナ終息へのシナリオという特集をやっていて、下記のゲストが議論されていました。西村康稔(経済再生担当大臣)宮坂昌之(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)國島広之(聖マリアンナ医科大学 感染症学講座 教授)宮田裕章(慶應義塾大学・医学部教授)

 

newspicks.com


結論としては、1−3年後に有効なワクチンができるまで(RNAワクチンはHIVと同じで、開発が難しく、できても副作用が大きい可能性もあるそう・・)どうしようもないからウィズコロナを前提に乗り切りましょう、人工抗体はもう少し確度が高いものは早くできるので、重症化のリスクがコントロールできれば、だんだんインフルエンザ的なポジションになるかも、という話でした。


納得できない話でもないですが、嵐が通り過ぎるまでじっと待つ「守り」の戦略より、僕はこっちで提案されている積極的に攻める2週間巣篭もり作戦「V14」の方に賛成で、2週間後の需要を前払いやクーポン券であらかじめキャッシュ化するスキームが作れれば、十分お釣りが来るんじゃないかと思っています。

 

note.com

 

もし仮に大失敗したとしても、ネガティヴインパクトは限定的ですし、むしろ成功した時のメリットが極めて大きい。

 

放って置いたら確実に数年は我慢することになるのが見えているのですから、沖縄、北海道のように隔離しやすい場所だけでやるとか、何かの社会実験できれば面白いのにと思います。

 

おそらくこのままじゃ、年末の帰省もできないでしょう。

「人のせいにしない」という問題解決の鉄則

仕事柄、ロジカルシンキングとか問題解決法の類には、結構触れてきたし、日々仕事でプラクティスもしているけど、最も難しいのが「人のせいにしない」という鉄則。

 

多くの場合、問題を分解していく過程で、どうしても人の問題のぶち当たる。経理がバカだとか、上司がアホだとか、どうしても人の問題になる。コロナを巡る政治のドタバタを見ていても、政治家や関係者のせいにしたくなる。

 

半沢直樹的な世界は極めてリアルなのだ。 

 

僕自身も組織における邪悪な人間の一面を嫌というほど体験したから、簡単にはこの「人のせいにする」思考から解脱できないが、いろいろな事例に関わっていると、組織システムが人間の行動をあやまった行動に駆り立てていることは一般的に言えるだろうと思う。

 

「ひとのせいにしない」問題解決がいかにできるか。

 

これはMECEとかロジックツリーみたいなテクニックというより、精神修養な気がする。

 

www.youtube.com

「会社のルールですから」と3つのマネジメントパワー

クラウドサービスの名義変更をしようとしたら「社印」が必要とのこと。

 

ハンコ廃止のこのご時世であり、ITベンチャー企業なので、「契約時に社印がいらないのだから、名義変更でも社印が不要な手続きにできませんか」と連絡したら、

 

「会社のルールなので」

 

とつれない返事。

 

この時、僕の頭には、志村けんのコンビニのコントが頭をよぎっていた。

 

内容は、志村けんがコンビニでお酒を買おうとして「20才以上の年齢確認ボタン」を押すことを要求され不満に思うのだが「ルールなんで」と笑顔でつっぱねられ、渋々従う。

 

その直後に再度タバコを買おうとして、また「20才以上の年齢確認ボタン」を要求され、店員にキレそうになるというコントだ。

 


#となりの志村 ②追悼番組

 

コンビニのバイトに文句を言うのも筋が違うが、この手の不満は高齢化社会でどんどん増加するんだと思う。

 

ただ、こういうご時世なので、人間的なサービスを要求するなら、もっと高い店をご利用くださいという流れになるのは間違いない。

 

臨機応変なサービスには「コスト」がかかるのだ。

 

経営は「効率性」「おもてなし」「イノベーションの3つの力をバランスすることが要求されるが、コンビニは、典型的な「効率性」重視のビジネスモデルだ。

 

これまで多くの日本企業が、おもてなし優位のビジネスモデルを築いてきたが、国が貧乏になり、ユーザーがとにかくまずます低価格を重視するようになれば、「効率性」ビジネスが優位性を増し、おもてなしは”リッチピープル”向けになるのは必然だ。

 

flowone.hatenablog.com