大人の考える技術

若林計志が経営・MBAのフレームワークやマネジメント理論を応用しながら、ビジネス・社会問題を考察します

築地の豊洲移転問題の「論点」

築地市場豊洲移転を巡って迷走中の東京都ですが、そもそも移転する必要は本当にあるのでしょうか?

というのも、築地の取扱量はこの15年ぐらいでも30−40%ダウンしているからです。

 

その理由として、

 

「施設の老朽化」「経営者の高齢化」「食文化の変化」

 

など、いろいろ挙げられますが、そもそも鮮魚や生鮮食品の流通はインターネットに急速にシフトしており、漁港などと相対で取引する産直取引のトレンドが毎年強くなっています。

 

スーパーが自社農場で育てた野菜を売ったり、農家と直接契約して産直で仕入れたり、道の駅が拡大してネット通販するようなトレンドは、これからもどんどん加速します。

 

したがって、20年後には「いちいち一箇所に集める」という発想自体が古くなっている可能性が相当高いのです。

 

つまり今回解こうとしている問題の「論点」自体が微妙なのです。

 

すでに取扱量が半減しているのですから、築地の現在の敷地の半分を閉鎖して、そこに新施設を作り、できたところでそこにみんな移って終わり、ということにできないのでしょうか?

 

そうすれば、引き続きアナログ的な商売がしたい人や、その風情を楽しみたい人のニーズも満たせるのではないでしょうか?(東京証券取引所での立会い取引が廃止され、すべてコンピューター管理されているにもかかわらず、一応見学ツアーができるようになっているのとは同じイメージです)

 

紆余曲折を経て開場したとしても、年間100億円の赤字が見込まれます。そして売り上げが年々下がっていく訳ですから、赤字幅も拡大していく茨の道です。

 

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