言わずと知れた「イノベーションのジレンマ」のクリステンセンの講演録ですが、組織マネジメントの観点から面白い示唆が含まれています。
この講演録でクリステンセン氏は、イノベーションのタイプを
1)「破壊的(disruptive)イノベーション」
2)「持続的(sustaining)イノベーション」
3)「効率化(efficiency)イノベーション」
に分類しています。
3の「効率化(efficiency)イノベーション」はちょっと新しい概念なので記事を読んで見ると、
「より少ないリソースでより多くの製品を作ることを目的とする
(のが)効率化イノベーション。(中略)効率化イノベーションはその特性として、雇用を減少させ、フリーキャッシュフローを増やす。」
とあります。「持続的(sustaining)イノベーション」よりも、投資効率に着目した概念なんですね。
そしてクリステンセンが言わんとしているキーポイントは、
「ファイナンス主導で経営を行うと「破壊的(disruptive)イノベーション」には投資できなくなくなる」
つまり、企業規模が大きくなると、どうしても投資効率重視の経営姿勢になるため、投資効率の悪い「破壊的(disruptive)イノベーション」は避けられてしまうのですね。
そしてイノベーションのジレンマ状態にズブズブはまってしまうというわけです。
まさに、これは成長段階説で有名なグレイナー教授のいう「第4段階」の現象として解説しているものと同じです。